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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > ロバート秋山の“ファスト番組”実践

ロバート秋山、タイパ至上主義時代に実践する“ファスト番組”のとあるオチ

ハリウッドザコシショウ「シュー!」

「どうしてもやっぱり、言葉だったり、短くまとめるだったりとか、どんどん簡略化していくっていうものにどうしてもなってしまうけど、なんですかね……要約したくないっていう。この時間がホントに豊かで」

 18日の『おげんさんといっしょ』(NHK総合)で星野源はそう語った。三浦大知と菅原小春による即興のダンスショーを見終えての感想だ。

 これまで同番組では何度かダンス企画を放送しているけれど、出演者の息づかいもふくめて生放送でお送りされるダンスはいつもながらに圧巻だ。今回、三浦と菅原のパフォーマンスを見て、星野は「俺たちは今、すごいものを見たぞ!」と興奮していた。そして目元を拭いながら、いろいろなものが「簡略化」される風潮への違和感を口にした。

 一方、テレビのなかには簡略化が難しい情報も多い。いや、それは超一級のダンサーのパフォーマンスとか複雑な国際情勢とかそういうことだけではなくて、たとえば、15日の『もう中学生のおグッズ!』(テレビ朝日系)。その放送内容を結論だけ簡潔にまとめると、「ジョイマン百人一首で真のジョイマンが池谷に決まり高木が銭形警部になった」になる。が、これだけ見てもわけがわからない。「戸越銀座で、あーん、シャッ、ヒョウ、シャッ、ヘビ、パリン」と同レベルである。

 他方、簡略化の極地のようなケースもある。18日の『かまいたちの知らんけど』(毎日放送)。この日はハリウッドザコシショウがくっきー!(野性爆弾)とともに出演し、かまいたちの2人とトークをしていた。

 ザコシショウの芸風は破滅的なもの。誇張モノマネを繰り返し、番組に出ると「シュー」「ゴース」と意味をなさない大声を張り上げる。最近は『凪咲とザコシ』(テレビ朝日系)などで“ちゃんとしてる”一面を見せたりもするザコシだけれど、それが意味をもつのも破滅的な一面あってのことだ。

 そんなザコシショウが『かまいたちのしらんけど』で、「シュー」の語源について語っていた。

「後輩でおしっこ我慢してるやつがいて、便所便所つって、膀胱パンパンで、ドア開けた瞬間シューって出ちゃったんよ。おしっこが。『そのトークおもろいからどっかでせぇや』って言ったら『そんなことするか!』つって。『じゃあ俺がやる』つって、シュー」

「シュー」が生まれた経緯については、ザコシショウのYouTubeチャンネルに詳しい“解説動画”が上がっていたりもする。が、テレビでは深夜帯でときどき聞く程度。知ってる人は知ってるが、知らない人は知らない話だ。なお、「ゴース」は「ぶっ殺す」を縮めたものである。知っても知らなくてもいいが、人によっては知らないほうが幸せだったかもしれない話だ。

 考えてみれば、ザコシショウの「シュー」とか「ゴース」は、短く・わかりやすく・簡潔に、の極地にあるような言葉である。しかも、語源からの距離が遠くて意味をほぼ失っている。こちらもまたファストを推し進めた末の無生産と言えるかもしれない。

 関係機関におかれては、ぜひ、ザコシショウを「ストップ!ファスト映画」みたいなのの啓発キャラクターにしてほしい。

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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いんようてれび

最終更新:2023/02/27 19:00
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