杉田水脈ほか消えるはずだった危険すぎる“安倍銘柄”議員がしっかり復活の悪夢
#安倍晋三 #見附太郎
安倍晋三元首相が7月8日、凶弾に倒れてから早1か月が過ぎた。良くも悪くも大きな影響力を行使した元首相の突然の退場で自民党内のパワーバランスも崩れた。特に安倍の後ろ盾を失った高市早苗の政調会長交代は茂木敏充幹事長との不仲もあり、早い時期から既定路線として囁かれていた。
岸田文雄首相が今月10日に行った内閣改造・党役員人事で無役になると思いきや、高市は経済安全保障相に起用された。しかし、このポストは河野太郎のデジタル担当相同様、内閣府の特命担当相。実際の人事権がないので役人がどこまで本気でついていくかについては最初から疑問符がついてしまう。
総務相という人事権を行使できる省庁大臣を経験してきた高市としては、やはり格下げ感があるだろうか。本人も8月14日に自らのTwitterで「組閣前夜に岸田総理から入閣要請のお電話を頂いた時には、優秀な小林鷹之大臣の留任をお願いした」、「翌日は入閣の変更が無かったことに戸惑い、今も辛い気持ちで一杯です」と呟いたが、これが偽りのない本音なのだろう。
組閣前夜に岸田総理から入閣要請のお電話を頂いた時には、優秀な小林鷹之大臣の留任をお願いするとともに、21年前の掲載誌についても報告を致しました。翌日は入閣の変更が無かったことに戸惑い、今も辛い気持ちで一杯です。
— 高市早苗@takaichi_sanae) August 14, 2022
岸田首相は閣議応接室の席順で高市をナンバー2とされる首相の左側に据え、自民党の岩盤支持層とされる保守層に向けての配慮を示した。しかし、これは今回の内閣改造まで同じ場所に座っていた野田聖子少子化担当相同様、お飾り的なものなのかもしれない。
杉田を庇い続けた安倍 今後は色褪せるのか“安倍銘柄”
安倍の死の直後から政調会長交代論が沸き起こった高市と共に、永田町関係者の間で次の衆院選挙で比例名簿の掲載すら危ういと囁かれ始められたのが杉田水脈(みお)だ。「LGBTには生産性がない」、「シングルマザーは自己責任」など度々の問題発言をしながら、安倍元首相が存命のころは守られてきた。その彼女が今回の内閣改造で総務政務官に指名された。
元々、杉田は「日本維新の会」所属の衆議院議員。安倍が政権奪還した2012年12月の総選挙で兵庫6区から、同会の候補として出馬した。小選挙区は自民党の大串正樹に敗れたものの、比例近畿ブロックで復活し議員バッジを手にする。
政党を「次世代の党」に変えて臨んだ2014年の総選挙で再び兵庫6区から立候補するが共産党候補にも敗れ、最下位で惨敗。その後はネトウヨの番組への出演、講演活動などを通し、慰安婦問題などに対し、「捏造」などと唱えるなど物議を醸し続けてきた。落選中の2015年にはジュネーブで開かれた国連女子差別撤廃委員会に出席し、慰安婦の「強制連行」を裏付ける資料はなく、朝日新聞が報じた慰安婦の強制連行は吉田清治氏(故人)による「捏造(ねつぞう)証言」に基づくと主張し、ネトウヨ、保守から喝采を受けた。
こうした一連の言動が当時首相だった安倍の目にも止まり、自民党入りを誘われ、2017年10月の総選挙では自民党から出馬し、21年10月も再選を果たし今に至っている。両選挙とも比例単独での出馬だったが、名簿での順位では常に優遇されてきた。「安倍の一推しの銘柄だったからだ」(自民党関係者)。
今回、晴れて総務政務官に就任したが、統一教会との関係や過去の発言を蒸し返され、早くもマスコミの集中砲火を浴びている。
しかし前出の自民党関係者は「杉田はまたどこかで失言するだろう。でも、それもすべて折り込み済みのこと」とにべもない。政務官在任中に失言をして辞職に追い込まれるような事態は、彼女を次期衆院選で比例の候補者リストから外す“大義名分”となるので好都合なのだという。
安倍は2018年に杉田が同性婚カップルを念頭に「生産性がない」と月刊誌に寄稿し批判を浴びた時も「まだ若いですから、そういったことをしっかり注意しながら仕事をしていってもらいたい」と述べるなど庇った。
中東の衛星テレビ局「アルジャジーラ」でもツイートされた杉田の発言(2018年7月25日)
This Japanese lawmaker doesn’t think LGBT people deserve social welfare because they’re not “producing” children. pic.twitter.com/8wtkfcJ245
— AJ+@ajplus) July 24, 2018
今回の内閣改造・党役員人事で“安倍一推し”の高市は経済安全保障担当相、杉田は総務政務官とそれぞれポストについた。二人とも落ち着くところに落ち着いたが長い目で見れば、今後は影響力を失っていくだろう。
安倍派(清和会)を飛び出した過去を持つ高市が昨年2021年9月の自民党総裁選に出馬できたのは、安倍の“推し”があればあったからこそ。安倍派に戻ることができない彼女が、再び総裁選に出る目処は現時点ではない。
スケールは格段下がるが、杉田のこれからもイバラの道だ。庇ってくれた安倍はいない。杉田を「国の宝」と持ち上げた原田義昭元環境相も昨年10月の総選挙で落選した。
保守の論客、櫻井よしこら保守層の強い支持を受けているとはいえ、今度、失言をした時に庇ってくれる人たちが自民党内にいるのだろうか? 宏池会(こうちかい)という元々、ハト派の派閥出身の岸田首相が安倍のように身を挺して庇ってくれるとは考えにくい。何かあった時は即更迭するなど突き放すかもしれない。
高市と杉田。日本に与える影響も立場は大きく異なるとはいえ、安倍の突然の死去は自民党内の二人の女性議員の将来に大きな暗雲を残した。
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