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TPの芸人礼賛

『M-1グランプリ』が今年も始まった!金属バットに裏切られ続けるPが見た夏の一幕

想定が裏切られた先に「おもしろ」が待っている

『M-1グランプリ』が今年も始まった!金属バットに裏切られ続けるPが見た夏の一幕の画像2
『M-1グランプリ2021』敗者復活戦当日、お守りを渡したときの2人。

 思い返せば2019年3月、初めて金属バットと収録をした日の打ち上げで小林さんにお酒が飲めるか確認したところ

「一滴も飲めません」

という答えが返ってきた。このタイプの芸人さんで下戸って意外だなと思った矢先に彼は「生ビール大」を注文し、光の速さで飲み干した。

 こんなにも一瞬で人に裏切られた経験がなかったので、ムカつくとか面白いとかではなく、ただただ怖かった。

 それから3年以上の月日が流れた。

 僕は相も変わらず裏切られ続けている。

思い通りにいかない。
台本通りにやってくれない。
準備したものが無駄になる。

 だけどめちゃくちゃ面白い。

 金属バットとの収録はその繰り返し。

 見通しを立てても意味がない。僕はいつからか「それが人生かも」と思うようになった。自分の想定がぶっ壊れた先に、もしかしたらとんでもない「おもしろ」が待っているのでは?

 僕はいつのまにか金属バットから「人生」を教わっていたのかもしれない。

 これは非常に危険な考え方であることは承知しているし、もう「アウト」な精神状態な可能性すらある。だけど3年以上もそれを食らい続けると、感覚が麻痺してくるのだ。良い悪いの話ではなく、価値観の問題。よい子はマネしないでね。

「こぼれいくら丼事件」と同じ7月、僕は12年勤めていたテレビ局を辞めた。

 こぼれたのはいくらではなく、僕だった。これは全然うまくない。

 2022年8月1日は『M-1グランプリ2022』が始まった日であり、僕が会社員じゃなくなった日でもあった。僕にとってあまりにも特別な日だった。

 僕はちょっと前まで、おとなしく定年まで働いて安定した状態で老後に突入する見通しを立てていた。

 その見通しは完全に狂った。

 嫁も子供もいるし住宅ローンも残っているのに、どうしよう。

でもこれでいいと思う。
そっちほうが面白いはずだから。
見通しなんか立てずに生きていこう。

 そんな金属バットが唯一正面から向き合っている(と側から見てて思う)もの。それが『M-1グランプリ』。『M-1』だけには熱い。Twitterで「応援よろしく」や「面白かったら(敗者復活)投票して」など、驚くほど真っ直ぐに気持ちを表現する。いやこれが当たり前なんだけど。

 金属バットは今年が『M-1』ラストイヤー。どんな結果になっても彼らの面白さは揺るがないが、応援したい。応援するだけなのは楽だしリスクがなくてズルいけれど、それでもやっぱり応援したい。素敵な結果だったらきっと自分のことのようにうれしい、彼らの15年の努力全てを自分のことにしちゃうのはおこがましすぎるけれど、やっぱり自分のことのように喜びたい、わがまま、それが人生。

「最高の年末になる」

 こんな見通しを立ててみた。

 金属バットにはありとあらゆる見通しを立てては狂わされてきたけど、こればかりは見通し通りであってほしい。

 エントリーナンバー3104(みとおし)が明るいことを願って。

『M-1グランプリ』が今年も始まった!金属バットに裏切られ続けるPが見た夏の一幕の画像3
『M-1グランプリ』公式HPより

高橋雄作(TP、プロデューサー・作家・社長)

プロデューサー、作家、社長。2022年夏、テレビ朝日を退職し独立。音声配信アプリ「stand.fm」コンテンツアドバイザー、お笑いラジオアプリ「GERA」チーフプロデューサー。YouTubeチャンネル「金属バット無問題」などを手掛ける。

Twitter:@takahashigohan

たかはしゆうさく

最終更新:2022/08/23 13:00
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