『DAISUKI!』が22年ぶり復活。現代のゆるいバラエティの“始祖”が果たした功績
#テレビ #中山秀征 #飯島直子 #松本明子
テロップは最小限、ワイプなし、過度なSEなし。だからこその見やすさ
番組開始早々、時の流れを鮮明にせんと、3人は現在の年齢を順番に発表していった。飯島直子が54歳、中山秀征が55歳、松本明子が56歳である。中山が『DAISUKI!』の司会になった頃(92年9月までは初代司会者の吉村明宏がレギュラーだった)、3人は20代半ばだった。令和のテレビで主に街ブラロケを行うのは、40代のタレントたちである。そう考えると、若くしてみんなよくやっていた。
こんな言い方もどうかと思うが、全員が芸能界から消えなかったからこそ、今回の復活スペシャルは実現可能となった。さすが、一線級のタレントたちである。年相応にシワは増えたものの、見事に見た目を保っていて驚く。
同時に、地上波ではなくBSで復活したという事実。BSのお散歩系番組は、アラフィフ以上の高齢者の大好物だ。復活する局のチョイスも、確実に世代に合わせている感がある。
今回は、富士河口湖をスタート地点にキャンプを行うという趣旨らしい。まず3人は、河口湖の商業施設で買い出しをすることに。並んで歩く際、隣の人の手を握る松本の癖(視力が悪いため、近くの人の手にしがみつく)は健在だし、あの頃と3人の身長差が変わっていないところも胸アツだ。
野菜コーナーに立ち寄った3人。ここで飯島は、袋詰めのしいたけを手に取った。どうやら、傘がない軸だけのしいたけが売っていたようだ。
中山 「傘なし? 竿だけ?」
松本 「竿のみ」
飯島 「(吹き出しながら、袋を手に)ここに『シコシコ感がたまらない』って書いてある」
竿だのシコシコだの、爽やかに下ネタでゲラるこの感じは、まさに往年の『DAISUKI!』だ。
このくだりで気付いたことがある。番組が見やすいのだ。その理由は、誰がしゃべっても画面下に色付きのテロップが出ない点。字幕は最小限だし、画面端にはワイプの小窓もない。令和のバラエティと違い、過度なBGMやSEも付け足されていない。それどころか、スタッフの見切れもほとんど気にしていない編集だった。
このゆるさである。ゴテゴテのテロップで笑いを強要するでもなく、出演者が無駄に大騒ぎするでもなく、3人のやり取りをただ眺めているだけ。地上波でなく、BSでの復活だったことも功を奏した。この局だからこそ、現代のテレビの方程式を気にすることなく、当時の雰囲気そのままでロケをパッケージすることができたのだろう。
“遺品整理”の話題で盛り上がる、年相応の50代トーク
当時と変わらないところがあれば、一方で変わったところもある。まず、松本とスーパーのカゴがお似合いすぎなのだ。彼女と俳優・本宮泰風の間に生まれた子どもも、今や大学生だそうだ。松本が『進ぬ!電波少年』(日本テレビ系)を産休したときの息子さんも、今年で22歳。つまり、彼女は主婦のキャリアを積んだのだ。そして、中山には4人の子どもがいる。
松本 「直ちゃんが(結婚は)1番早かった」
飯島 「1回目はね(苦笑)」
松本 「あ、ごめんなさい。なんか、すいません」
中山 (松本をたたく)
飯島 「いいんです、いいんです。それが29歳ですよ、たぶん」
中山 「それで、(中山の結婚が)30歳、(松本の結婚が)31歳」
飯島 「だいたい、それくらいでみんな1回するじゃん。順番だったの。私が先に結婚して、ヒデちゃんが結婚して、松本さん結婚して、(飯島が)別れて、(中山が)別れて、(松本が)別れるかなと思ったら……」
中山 「そこ、リレーじゃないです(苦笑)」
結婚リレーは続いたが、離婚リレーは続かなかった。人生いろいろだ。他にも商品を案内する表示が老眼で読めなかったり、「セカンドバッグが好きなのに落とし物が増えたので紐付きに変えた」という中山の告白だったり、「GPS」の3文字をド忘れして「BTS」と言い出す飯島だったり、会話の内容は完全に中高年トークだ。雰囲気はそのままだけれど、至るところに22年の歳月を感じる。
買い出しを終え、車に乗り込んだ一行。いきなり始まったのは、遺品整理の話題だった。3人とも、すでに両親は他界した。松本は、ずっと空き家だった香川県の実家を売却したばかりだ。大人になるのは大変だと、つくづく思う。
ポジティブな形でも、時の流れは感じた。車中のドライブトークを撮影する場合、車内にGoProを設置しておけばそれで済むようになった。22年前は準備が大変だっただろうが、今は造作もないことだ。
飯島 「あれ? これ、(撮影は)始まってるの?」
中山 「始まってます」
飯島 「そうなの? びっくりしちゃう!」
ちなみに、今回のロケ移動で使用されたのはキャンピングカー。松本が副業として始めたレンタカー会社から貸し出された1台だ。松本明子がレンタカー事業のオーナーになったのだから、隔世の感である。
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