坂口健太郎×杏『競争の番人』事件は解決したもののなんかモヤモヤ…の第5話
#競争の番人
「これは解決したのか?」 8月8日に放送されたフジテレビ系月9ドラマ『競争の番人』の第5話について、少なくない視聴者がこのような感想を抱いたことだろう。第4話と第5話の前後編で完結した世界的電機メーカー「アレス電機」による下請けいじめの案件は、決定的な証拠を提示した大捕り物……ではなく、情に訴えて”悪役”を改心させるという、肩透かし的な幕引きとなった。
突然の人情劇となった第5話
アレス電機の下請けいじめの調査を行うことになった小勝負勉(坂口健太郎)、白熊楓(杏)ら公正取引委員会・第六審査(通称「ダイロク」)。前回の第5話では、30社ある下請け会社がどこも横並びの対応で公取の聴取を断るも、「丸川金属工業」の社長・丸川俊春(吉沢悠)が下請け企業の組合の幹事を務め、アレス電機の下請けいじめの“取りまとめ役”を担っていることを突き止める。そして、これ以上の値下げは耐えられない他の下請け会社のために丸山金属だけが大幅な値下げを受け入れた証拠を見つけ、丸山が実はひっそりと他の下請け会社を守っていたことが明らかに。これを知り、他の下請け会社たちは丸山に謝罪し、力を合わせてアレス電機の不正を追及しようと丸川に呼びかける。そして小勝負たちも、下請け会社の協力を得て、いよいよアレス電機への立ち入り検査に踏み出そうというところで終了した。
第5話ラストでは、ダイロクの審査官・六角洸介(加藤清史郎)の父親で、検察幹部である六角敦夫(羽場裕一)がダイロクに姿を見せ、アレス電機への立ち入り検査をしないよう求めてきた。下請けいじめの主犯と見られる役員・柴野竜平(岡田義徳)に横領の容疑があり、「犯罪」であるこちらを優先させてほしいという意図だったが、ダイロクの審査長・本庄聡子(寺島しのぶ)はこの要請を拒否。しかし、公取がアレス電機で立ち入り検査を開始しようとしたその瞬間、検察が突然乗り込み、資料などを押収してしまった。立ち入り検査の日時は機密情報のはずだが、検察に情報が漏れていたのだ。検察が押収せず、残していった資料はわずか。公取の立ち入り検査は検察の横槍で「失敗」に終わった。
検察が柴野の横領の証拠を見つけ、逮捕することを期待するしかないダイロクのメンバー。そんななか、アレス電機が下請け企業に新たな発注を行った。納期も単価もさらに厳しく、回答期限は2週間という短さ。下請け企業をまとめていた丸川金属は受注したが、社長の丸川は無理をして過労で入院してしまう。見舞いに行った白熊と六角は、丸川がなぜそこまで柴野の味方をするのか尋ねる。丸川と柴野は中学時代、同じ野球チームに所属していたが、丸川のプレーで柴野に怪我をさせてしまい、試合に出られなくなった柴野の「優勝する」という夢を潰してしまった。そして大人になって再会した際、アレス電機に入社した柴野が、実家を継いだ丸川に「これでまた同じチームだよ。野球じゃ優勝できなかったけど、今度は仕事でトップ目指そうぜ。世界が驚くような最高の製品作るんだよ」と夢を語ったことで、丸川は「今度こそあいつの夢、実現させてやりたい」と願うようになり、柴野のどんな要求にも応えていたのだ。
しかしここにきて、検察は柴野の横領の証拠を見つけられなかった。公取に先駆けようと急ぐあまり、準備不足だったのだ。押収品もすべてアレス電機に返却されてしまった。ダイロクは、検察へのあてつけになることも気にせず、再び立ち入り検査を行う。回答期限の前日まで諦めず、一度検察が確認した資料の「ブツ読み」を、丹念に続ける。そんなダイロクメンバーの姿を見た六角は突然謝罪。立ち入り調査の情報を検察に漏らしたのは六角だった。検事志望だったものの、司法試験に落ちて公取に渋々入った六角は、父に「検察に入れてやる」との交換条件を提示されたからだった。
下請けいじめの証拠は見つからなかったが、小勝負は「面白いこと」を発見する。下請け先を選定するにあたってアレス電機が独自に企業を調査・評価した資料で、現在下請けを担っている30社すべて、どの項目においても圧倒的に高く評価していたことがわかったのだ。回答期限を明日に控え、アレス電機に謝罪して交渉しようと話し合う下請け会社の社長たち。そこにやってきた小勝負は、彼らが「アレス電機が求める技術に見合う会社」であると伝え、「アレス電機にとってあなたたちは、なくてはならない存在なんです。あなたたちは弱くないんです。アレス電機との取引がなくなったっていいじゃないですか。何てったって、世界のアレス電機が認めた技術なんですから」と発破をかけて去っていく。
そして回答期限当日。丸川以外の下請け企業の社長全員が柴野に対し、契約の見直しを求める。柴野はだったら他の下請けを探すと突っぱね、交渉は破談となるが、帰っていく社長たちを丸川が必死に引き止めていた。白熊は、丸川が「野球ではかなわなかった夢を今度こそ実現させてあげたい」と考え、「最高の製品を作ってトップを目指そう」というかつて柴野が語った言葉をずっと信じていると柴野に伝える。競合他社に勝つためには価格を抑えるなどの努力が必要だという柴野の言い訳に、小勝負は「それはあなたの戦いでしょう。下に押し付けるものじゃない。下は支えてくれるものですよ。あなたにはまだ支えてくれる仲間がいる」と訴え、柴野のデスクに置いてあった犬型ロボットを見せる。柴野が丸川と最初に作った製品だった。品質にこだわり抜いたこのロボットを作った時のことを思い返しながら、下請け企業を必死に説得している丸川の姿を見つめる柴野は、ついに下請けいじめを認め、契約を見直すと宣言。「みなさん、力を貸してください。みなさんの力が必要です」「申し訳なかった」と下請け企業に対し、頭を下げるのだった。
壮大な伏線? 後半の展開に期待か
今回はアレス電機の下請けいじめ、父に逆らえない六角の葛藤という2つのテーマが同時進行で展開。どちらも、“優越的地位”を持つ存在にどう抗うかがテーマとなった。柴野に反旗を翻した下請け企業たちのように、「公正取引委員会で一人前の審査官になりたい」という思いを抱くようになった六角もまた、父に逆らって検察への異動の口利きを拒否し、父の支配から決別した。
一方で、ダイロクが見つけた証拠をきっかけにアレス電機の横領は立証できたが、逮捕されたのは柴野の部下だった。そのため強盗殺人の容疑のあった柴野の逮捕とはならなかったが、緑川検察官(大西礼芳)は、柴野の周辺を徹底的に洗ったものの、“シロ”の可能性が高いという。がっかりする白熊だが、ダイロクのメンバーは「公取として柴野の不正をただすことはできたでしょ」と慰める。その柴野による下請けいじめ問題も、証拠を突きつけたわけではなく、小勝負が情に訴えかけて改心させたものだ。このなんとも言えないモヤっとした結末には納得がいかない視聴者も多かったようで、「普通に改心しちゃって拍子抜け」「すっきりしない終わり方」といった声が上がっていた。その一方で「良い意味で意外な決着が面白かった」と、犯人が逮捕されて事件が解決するミステリーとは一線を画した展開を評価する意見もある。
8月15日の第6話からはいよいよ”後半戦”。「小説現代」2022年7・8月号(講談社)に前後編で掲載された呉服店が舞台の続編小説をベースにしていると考えられる。さらに、ラスボスだと推測される国土交通省の事務次官・藤堂清正(小日向文世)の存在感や、白熊のナレーションにあった「国の根幹を足元から脅かす大きな事件」など、壮大な伏線に期待の声が上がっている。公取委の案件から飛び出す大きなスケールになっていくのか、目が離せなくなってきた。
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月9ドラマ『競争の番人』
フジテレビ系毎週月曜21時~
出演:坂口健太郎、杏、小池栄子、大倉孝二、加藤清史郎、小日向文世、黒羽麻璃央、大西礼芳、石川萌香、寺島しのぶ ほか
原作:新川帆立『競争の番人』(講談社)
脚本:丑尾健太郎、神田優、穴吹一朗、蓼内健太
音楽:やまだ豊
主題歌:idom「GLOW」
プロデュース:野田悠介
演出:相沢秀幸、森脇智延
制作・著作:フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kyosonobannin/index.html
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