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笑わせているのか、笑われているのか? 出川哲朗のリアルガチな“能動”と“受動”

笑わせているのか、笑われているのか? 出川哲朗のリアルガチな能動と受動の画像1
『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)公式Twitter(@nhk_proff)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(7月24~30日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

パンサー・尾形は「笑いは、笑われてもいい」

 春日俊彰(オードリー)、尾形貴弘(パンサー)、あばれる君の3人で放送された24日の『ボクらの時代』(フジテレビ系)。冒頭のナレーションで「今日は慣れないフリートークに全力で臨みます」と紹介されたように、この日の『ボクらの時代』はトーク番組として“異例”の座組で放送された。

尾形「サンキュー!」
春日「トゥース!」
あばれる君「自分はそうは思いません!」

 3人がそれぞれの持ちギャグを絶叫して始まった、やはり“異例”のオープニング。エンディングも「元気だけは負けずに!」(尾形)、「声張って! 体張って!」(あばれる君)などとそれぞれが大声を出し、「ありがとうございましたー!」という春日の叫びで終わる”異例”の展開だった。

 いや、この3人を集めたらこうなるだろうし、この3人も「この3人を集めたらこうなるだろう」をやったという意味では、必ずしも“異例”ではないとも言えるけど。

 さて、バラエティ番組では体を張った場面も多い3人。トークの内容はいわゆるリアクション芸にも及んだ。そんななか、パンサー・尾形は「笑いは、笑われてもいい」と語った。

「笑わせてる、笑われてる問題。俺はもう、一緒だと思います全部。そう思ってないとやってられないし」

 笑わせているのか、笑われているのか。この問いがいつからあるのかはわからない。案外古い気もする。いずれにしても、リアクション芸人にはつきものの問いだ。

 というのも、ハプニング性が強かったり、当人の意図とは外れたところで笑いが起きていたりする(ように見えてしまう)リアクション芸でテレビによく出る芸人は、周囲から“笑われている”と見られやすい。芸人とは何かしらの芸で見るものを作為的に”笑わせる”仕事だという前提に立つなら、不作為の笑いが起きているように見えるリアクション芸人は、芸人のあるべき姿から外れた存在と見なされかねない。

 一方的に“笑われている”ように見える芸人は、しばしばかわいそうな存在と捉えられてしまう。その裏返しとして、見る側の加虐性を刺激してしまうこともある。かわいそうな存在を見ることの耐えられなさ、あるいは自身の内側に加虐性を見てしまうこと耐えられなさ。そんな居心地の悪さを見る側に感じさせてしまう場合があることも、この”笑わせてるのか笑われてるのか問題”が繰り返し出てくる理由のひとつだろう。

 では、彼ならこの問いにどう答えるのだろうか。リアクション芸人の代表格とも言える出川哲朗が、27日の『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)に出演していた。出川は自身の肩書きについてこう語る。

「僕、芸人ではないですね、実は。芸人さんって本来は、舞台に立って漫才、コントやって客前で舞台に立ってる人が、やっぱ芸人さんだと思うんですよね。コントとか漫才とかもやってないので、芸人さんとはホントは言えないですよ。もうホントに逃げなのかもしれないけど、リアクション芸人。出川哲朗はなんだ?って言われると、リアクション芸人です、ってしか言えないですね」

 芸人ではない、リアクション芸人である。ある種の「逃げ」であると言いつつも、自覚的にリアクション芸人を自称するそんな出川にとって、笑いは起こすものなのか、起こるものなのか。

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