『水ダウ』ダイアン津田の名前誤表記は本当か?ネタか? 視聴者が考察に走る理由
#深田憲作 #企画倉庫 #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
放送作家の深田憲作です。
「企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。
今回のテーマは「『水曜日のダウンタウン』(TBS系)でのダイアン津田さんの名前誤表記について」です。
先日の放送で、ダイアン津田さんの名前表記が間違っていたという小さなお話で、本記事の執筆時点では大きな話題になっているわけではないので、ピンとこない方もいると思います。
簡単に説明します。「街で『ファンなんです』と声かけてくるファンに限って、たいしたファンじゃない説」という説の検証で、街で芸能人に声をかけてきた人に番組のカメラが突撃して、その芸能人に関するクイズを出題。それで本当にファンかどうかを確かめるという企画。
その検証で声をかけられる芸能人としてキャスティングされたのがダイアンの津田さん。声をかけてきた人に津田さんのフルネームをクイズで出題していたのですが、「ファンです」と声をかけてきた人の中に、下の名前を答えられる人はいませんでした。
そのクイズの正解発表の際に出されたテロップが「津田篤宏」ではなく「津田篤弘」と誤った表記になっていて、放送後に津田さん本人がツイッターで誤表記を指摘したことがネット記事になっていた、という話です。
正解の漢字間違ってるやん!なんやねん!篤宏や! pic.twitter.com/75fg2Qfbfl
— ダイアン津田@daiantsuda) July 27, 2022
これを受けてネットでは「『水曜日のダウンタウン』だったら、それもわざとやっているんじゃないのか?」という声が多数挙がっているそうです。誤表記が故意であったかどうかは不明なのですが、これを受けてエンタメ作品内のギミック(仕掛け)について考えてみたいと思いました。
古くから、映画・ドラマ・漫画・アニメ・小説などのあらゆる人気作品で「ファンによる考察」が行われてきました。それがネットの普及、さらにはSNSの大衆化によって、その数と熱量は上がっているように思います。多くの人の潜在意識に「自分だけが気づいているギミックについて公に発表したい」「こんな小さな事象から自分はここまでの推測ができることを知らしめたい」といった欲求があるからです。
実際にYouTubeでも『ワンピース』などの人気作品の考察動画が、無数に存在します。YouTubeで動画を公開しないまでも、ミステリードラマで「おれは序盤に誰が犯人か分かってたけどね」と言いたくなる気持ちはみなさん持っているでしょう。
近年、エンタメ制作において「ファンに考察させる仕掛け」を考えるクリエイターも増えているはずです。物語の終盤に回収される伏線のように、しっかりと答えが用意されているギミックもあれば、そこに意味はないけど一部の人が気づいた時に発見感があって嬉しくなるというギミックもあります。ディズニーランドの隠れミッキーは、後者のギミックと言えるでしょう。
今回の『水曜日のダウンタウン』の名前誤表記が“故意であるとするならば”同じく後者です。
このちょっとした遊び心の入ったギミックが既存のファンをさらに深化させるのに効果的だと思うのですが、取り扱いには注意が必要な案件だと思います。なぜなら、このギミックは使用法やバランスを間違えるとダサく見えてしまうからです。
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