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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > 井手上漠が見つめるその日
「だから日々、いろんな戦(いくさ)があっても闘っていけるんです」

井手上漠、“ジェンダー問題の発信”をやめる、その日を見つめて

大人になってから違和感を拭うのは、難しくなってしまうと思う

井手上漠、ジェンダー問題の発信をやめる、その日を見つめての画像4

──少しずつではありますが、この1年でもジェンダーの問題をめぐる社会の意識は高まってきたと思います。たとえばつい最近でも、体育の水泳授業で着用できる男女共用の“ジェンダーレス水着”の販売が話題になりました。このニュース、井手上さんはどう感じられましたか?

井手上:SNSでニュースを見て、すごくいいなと思いました。もちろん、性別にかかわらず、かわいい水着が着たい子もいれば、カッコいいものを着たい子もいると思うんですが、学生生活の中にはどうしても強い同調圧力があるので、今はまだこういう取り組みが必要だと思うんです。

──井手上さんは高校在学中、男女別に決められた制服を、性別に関係なくスカートかスラックスかを選べるように働きかけて、校則を変えたエピソードがありますよね。このときの経験が、プロデュースするジェンダーレスブランド「BAAKU(バーク)」を立ち上げたことにもつながっているんでしょうか。

井手上漠、ジェンダー問題の発信をやめる、その日を見つめての画像5

井手上:私がファッションを大好きになったのは、もともと母がファッション好きだったので、自然と……という感じでした。

 私自身は「レディース」も「メンズ」も着るんですけど、ショッピングビルでは性別によってお店のフロアが分けられているじゃないですか。そういうときに「自分はどっちに行けばいいんだろう」と悩んだり、周りの目が気になることもあったんですよね。

 そういう経験を通じて、じゃあいったい何が洋服の性別イメージを分けているんだろうって考えたときに、制服や礼服のようなフォーマルな場で着る洋服が「スカート=女性」「パンツ=男性」になっている事も影響は大きいんじゃないかってところに行き着いたんです。

 特に、学生時代に男女別の制服を着ることで固定概念が根付いてしまったら、大人になってからその違和感を拭うのは難しくなってしまうと思う。やっぱり人の心が変わらないと、問題はそこにあるままなんだなって。

 私は「それでいいのかな?」って思うし、ファッションってもっと自由であるべきだと思うから、「BAAKU」では性別を限定しないお洋服を通じて、そういった固定概念を壊して自由になっていけたらと考えているんです。

 ただ、人が「未知のもの」に違和感を覚えるのは自然なことだと思うから、まずはジェンダーレスなものを「知っているもの」にしていくことが大事だと考えていて。10年後、20年後には、それが“当たり前”になっていたらいいなって。

──10年後、20年後のために、今を少しずつ変えていく。メディアに携わる者としては、現在のジェンダーを取り巻く問題の議論を、一過性のもの、ひとつの“ブーム”としてメディアが取り扱ってしまいやしないかという危機感もあるんです。

井手上:最近、「SDGs(2030年までの達成を目指す、持続可能な開発目標)」という言葉をよく耳にしますけど、世界中で、日本の小中学校でも学ばれている「SDGs」の項目のひとつに「ジェンダー平等を実現しよう」と掲げられています。これって、すごく大きいことなんじゃないかなって。それによって、私たちの下の世代には社会を変えよう、ジェンダー平等を支持しようという子たちがもっと増えていて、社会にもその意識が根付いているんじゃないかなと思っています。

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