玉置浩二を『関ジャム』が大特集、レジェンド吐露する「自分も歌を唄って救われる」
#玉置浩二 #関ジャム #平原綾香
7月24日放送『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)が行ったのは、玉置浩二の特集。安全地帯としてデビュー40周年、ソロとしては35周年を迎え、ファンのリクエスト投票によるベストアルバムを7月25日にリリースしたばかりの玉置。そのタイミングに合わせての、今回の企画のようだ。
ここ数年間で、“歌がうまいボーカリスト”の代名詞的存在になった感のある玉置。しかし20年ほど前は、少なくとも市井ではそこまでの評価は固まっていなかった。山下達郎からは「日本で最も過小評価されているミュージシャン」と、ASKAからは「化け物のように歌がうまい」と、コラムニストの故・ナンシー関からは「歌バカ一代」と称賛されるほどのボーカリストである。
あと、本人が「歌のワールドカップがあったら、日本代表は俺」と豪語したエピソードは有名。しかも、誰も異論の余地がないため、“玉置浩二伝説”としてストレートに音楽ファンに受け止められている逸話でもある。
V6にも楽曲提供、メロディーメイカーとしての玉置浩二
まず、番組は「安全地帯&玉置浩二ヒストリー」を紹介。1981年、安全地帯は井上陽水のバックバンドとして抜擢された。その5年後の1986年、陽水と安全地帯はデュエットシングル「夏の終わりのハーモニー」をリリースしている。「井上陽水-玉置浩二」の関係性は、さながら「吉田拓郎-浜田省吾」のようだ。
安全地帯の全盛期(80年代中期)と現在を比べると、玉置の雰囲気はかなり変わった。時代の影響はもちろんあるが、80年代は肩パッド入りのスーツを羽織り、デヴィッド・ボウイやプリンスを意識したようなルックスだった。そして、曲調は耽美。しかし、今はナチュラルで泥臭い楽曲が多い印象だ。ソロとしての玉置の代表曲は、やはり1996年リリースの「田園」だろう。
こうして彼の足跡を振り返ると、歌声の厚みに驚くばかり。競い合うように高音を出す昨今のボーカリストと比べ、玉置の才は良い意味で際立っている。
また、玉置にはメロディーメイカーとしての顔もある。他のミュージシャンへの提供曲が多いのだ。特に異彩を放っているのは、V6に提供した「愛なんだ」。96年放送のドラマ『コーチ』(フジテレビ系)で玉置とV6・井ノ原快彦が共演し、2人の親交をきっかけに生まれた1曲である。V6の楽曲の中で、明らかに「愛なんだ」は別格の名曲だ。
他にも、「サザン・ウインド」(中森明菜)、「悲しみよこんにちは」(斉藤由貴)、「嘲笑」(ビートたけし)、「泣きたいよ」(鈴木雅之)、「NaNaNa (太陽なんていらねぇ)」(TOKIO)、「マスカット」(平原綾香)、「無言坂」(香西かおり)、「名前のない空を見上げて」(MISIA)、「花束」(中島美嘉)、「貴方が生きたLove Song」(高橋真梨子)など、「作曲・玉置浩二」の楽曲は秀曲が揃っている。
玉置浩二の曲で救われた人たち
この日のゲストは、玉置を心からリスペクトする水野良樹(いきものがかり)、平原綾香、川崎鷹也の3人。「プロが選ぶ玉置浩二の名曲」と題し、ゲストがセレクトする玉置の楽曲が紹介されたのだ。歌唱力を評価されることの多い玉置だが、こうして曲にスポットが当たるのは意外にめずらしい。
川崎が選んだのは、97年リリース「しあわせのランプ」。彼はこの曲にまつわる思い出を明かした。
「結婚の挨拶に行ったとき、音楽を辞める覚悟もしていて、でも、奥さんのお父さんが『鷹也君、玉置浩二の“しあわせのランプ”という曲は知ってるか? 好きなことはそのまま好きなようにやりなさい。絶対に音楽を辞めちゃダメだよ。それでもダメならこの家に帰ってきなさい』と言ってくれた。つらいとき、心が折れそうなとき、必ず聴いている1曲」(川崎)
そういえば、玉置浩二ファンの浅田舞は、フィギュアスケートに疲れて遊び歩いていた頃を振り返り、「『しあわせのランプ』を聴いて感動し、気持ちを切り替えることができた」と過去に告白している。多くの人を救ってきた楽曲なのだろう。
続いて水野が挙げたのは、85年リリース「悲しみにさよなら」である。水野曰く、「メロディーと詞の母音のハマり方がこれ以上ない」らしい。
「もともと、言葉そのものにイントネーションがある。(アクセントを置く場所として)『かな“し”みに~』とは言わないじゃないですか? 日常会話のイントネーションと歌が自然とリンクしてないと、歌は不自然に聴こえるんですよ。玉置さんや安全地帯の楽曲は、そこが全部自然。みんながすんなり受け止められる抑揚とメロディーになってるんですよね」(水野)
水野による指摘は、古くから言われる日本の音楽界の命題である。例えば、「蛍の光」の歌い出しのアクセントがおかしいため、藤山一郎が『紅白歌合戦』(NHK)で「蛍の光」の出だしを歌わなかったという伝説は有名。あと、生前の忌野清志郎も水野と同じことを言っていた。事実、清志郎が作った楽曲におかしなイントネーションの日本語は出てこないはずだ。メロディーと言語の関係性は、いつか『関ジャム』でも取り上げてほしい観点である。
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