沖縄の若者は、基地問題にもはやこだわらない!? 参院選で見えた世代のギャップ
#政治 #沖縄
顕著に出た若年層の「オール沖縄」離れ
古謝が辺野古移設容認を明確に打ち出したことで、米軍基地を巡る対立がより鮮明となった今回の選挙。しかし、住民、特に若年層にとって基地問題はどれほど重要だったのだろうか?
投開票作業が続く10日夜、NHKが配信した出口調査の結果についての記事を見ると、
敗れたとはいえ、自民党公認の古謝は50歳以下の有権者から一定の支持を得ていた。逆に勝利した伊波を支持したのは50歳以上だった。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20220710/5090019089.html
【年代別】
・10代は50%あまりが古謝さん、30%あまりが伊波さん。
・20代は50%あまりが古謝さん、30%あまりが伊波さん。
・30代は50%台半ばが古謝さん、30%台半ばが伊波さん。
・40代は50%台半ばが古謝さん、30%台後半が伊波さん。
・50代は約50%が伊波さん、40%台半ばが古謝さん。
・60代は50%台半ばが伊波さん、約40%が古謝さん。
・70歳以上は約60%が伊波さん、30%台半ばが古謝さん。
(NHK記事より抜粋)
本人が沖縄戦の当事者だったか、親から戦いのことを直接聞かされた世代の高齢者になればなるほど、伊波を支持した傾向が窺える。
今回の出口調査でNHKは投票で重視した政策についても聞いている。「経済政策」が44%とトップで、「外交・安全保障政策」の10%を大きく引き離した。
長引くコロナ禍で壊滅的打撃を受けた県内の観光業、ロシアのウクライナ侵攻が招いた世界的な物価高騰などを考えれば、沖縄の有権者の関心が基地問題よりも自分たちの明日の暮らしに直結する、県の経済の立て直しに向かったとしても不思議でない。
特に生まれた時から米軍基地を見て育った若い世代にとっては、米軍基地との共存は変えられない現実として受け入れられているのかもしれない。それならば実を取り、明日の糧に繋がる経済政策だ。
沖縄知事選 再び問われる基地か、経済の立て直しの二者択一
参院選挙の興奮も冷めやらぬまま、沖縄は9月の知事選、そして10月の那覇市長選に入っていく。2ポストとも現在は「オール沖縄」が推す現職が占めており、自民党は2ポストの奪還を狙う。
8月25日告示、9月11日投開票の知事選では、「オール沖縄」が推す玉城デニー(たまきでにー・62)知事に対し、自民党は前回同様、元宜野湾市長の佐喜眞淳(さきまあつし・57)を立てる。前衆院議員の下地幹郎(60)も立候補を表明しているが、選挙戦は玉城と佐喜真の事実上の一騎打ちとなる見込みだ。
知事選を戦うにあたり、佐喜真は辺野古移設に対し、どういう姿勢を示すのだろうか? 古謝のように移設容認を明言するのか、それともこれまでの自民党候補のように賛否を曖昧にする戦術を取るのか。知事選を前に佐喜真の政治家としての姿勢が問われている。
敗れたとはいえ、辺野古移設容認を明言し善戦した古謝の潔さは保守層だけでなく、県内の様々な階層から讃える声が上がっている。投開票の4か月前に擁立が決まったことを考えても、よくぞ知名度で圧倒的に勝る現職にここまで肉薄したと思う。
今年は沖縄が本土に復帰してから50年の節目の年となった。米軍統治下の「アメリカ世(ゆー)」時代に生まれ育った50歳以上の支持を得て勝利した伊波に対し、沖縄本土復帰後に生まれた50歳以下の支持を得ながらも敗れた古謝。
やがて沖縄にも世代交代の波は確実にやってくる。9月の知事選でたとえ、玉城が現職の強みを生かし再選を果たしても、若年層の「オール沖縄」離れに歯止めはかけられない。
辺野古移設を容認した古謝が、現職の伊波に2888票まで肉薄した今回の参院選は、潮目が変わったことを予感させる結果となった。5年後、10年後の沖縄の政治勢力の構成図は今とは似ても似つかぬものになっているのかもしれない。
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