「旧統一教会とはどんな団体なのか?」“30年ぶり2度目”の週刊誌記事とその責務
#週刊誌スクープ大賞
旧統一教会とはいったいどんな団体なのか?
ここからは、統一教会と、安倍元首相を撃った山上徹也関連の記事。
旧統一教会とはいったいどんな団体なのかという特集が、それこそ、30年ぶりに週刊誌をにぎわせている。
まずは、かつて入信していた金沢大学の教授の話から。
金沢大学法学類教授・仲正昌樹(59)は、東京大学に入学した1981年に駒場正門前で加入され入信したそうだ。1992年までの11年半、信者として活動していたという。
「統一教会会は基本的に聖書を独自に解釈する宗教ですが、特に重要なのが『失楽園』の話で、統一教会は『アダムとエバは堕落してセックスをする』ということを強調します。
堕落したアダムとエバがセックスして産んだ子が溢れているから、この世はサタンの影響力が強い。信者はその『原罪』を清算しないといけないし、教祖の文鮮明氏によって祝福された相手以外の人とセックスすることは、罪を再生産する、サタン側に加担する非常に重い罪になるわけです。(中略)
オナニーも許されていませんでした。厳しいカトリックの戒律とほとんど同じですね。神が定めた用途以外で性器を使うことは神の摂理に反していると。私もその期間はオナニーをしなかった。
知られている合同結婚式は、いわば『大型婚約式』なんです。事前に文鮮明氏によってマッチングされた『相対者』(統一教会では教祖が定めたカップルの男性を『主体者』女性を『相対者』という)と、合同結婚式で文鮮明氏に声をかけられることで、2人は『祝福』され、原罪から一時的に解放されたことになる」
でも、すぐにセックスしてもいいということにはならないという。人はサタンの世界に生まれたから「堕落本性」があり、それを抑えるために約3年間、関係を持ってはいけないそうだ。
「合同結婚式には『顔合わせ』があり、そこでは『蕩減棒』という儀式を行うことになる。象徴的な儀式なんですが、木刀のような棒で、男女がお互いの尻を3回思いっきり殴り合うのです。原罪を清算する前提としての儀式で『祝福』の前に済ませておかなければなりませんでした」
しかし彼はマッチングした女性と全く気が合わず、不満が溜まり、結局、脱会することになったという。そのためもあったのだろうか、彼はいまだに童貞だという。
統一教会と文春の因縁は長い。あれは桜田淳子・山崎浩子・飯干景子が入信したとスクープした年だから、1992年になるか。
当時、統一教会という新興宗教に入信、桜田を除いて2人の脱会をめぐって、週刊誌やテレビが大騒ぎしたことを覚えている人は少なくなってしまった。
統一教会の悪名を広く知らしめたのは、1980年代中頃から『朝日ジャーナル』(朝日新聞社・休刊)が始めた「霊感商法」批判キャンペーンであった。
霊感商法とは、「人の不幸に付け込み、その不幸の原因が先祖の因縁に理由があると不安を煽り、壺や多宝塔、一和の高麗人参濃縮液などを原価の数十倍から数百倍で売り付ける」(『脱会 山崎浩子飯干景子報道全記録』教育資料出版会)というものだ。
朝日新聞社が1987年6月に集計したところによると、1984年4月以降の被害は全都道府県で1万3千件、180億円にのぼったという。
1987年の衆議院特別委員会で警察庁も、「各種の悪質商法の中でも最も悪質」だと答弁している。
しかし、こうした報道にもかかわらず、統一教会に入信する若者は後を絶たなかった。脱会させようとする肉親たちの必死の説得にも耳を貸さず、カネや金品を持ち出したりするケースが多発し深刻な社会問題化していった。
そんな中、新体操の女王でタレントとしても人気のあった山崎浩子が統一教会に入信して、韓国ソウルで開催される「合同結婚式」にも参加すると文春(1992年7/2日号)が報じたのである。
当時、私はフライデー編集長だったが、週刊文春の発売前から、スポーツ紙やワイドショーが大騒ぎしていたことを覚えている。
合同結婚式というのは、見ず知らずの男女を文鮮明が選び、スタジアムで見合い・結婚させるものだが、1988年には6500組が結婚したといわれている。
山崎は当時32歳。3カ月前に母親を亡くしていた。彼女は文春のインタビューに答えてこう語っている。
「合同結婚式で結婚すると聞いたらショックでしょうね。私もかつてはそうでしたし、ついこの間まで、祝福を希望することはないと考えていましたから。
(タレント活動の=筆者注)マイナスになることは覚悟しています。三年かかって考えたことを一口に説明することはできませんが、信じているからこうしていると言うしかありません。こうしていられるのも神様のおかげだと思っています。
あなたは神様を信じないのですか。統一教会の原理を勉強して下されば、せめて四十日勉強すれば、理解していただけると思うのですが」
その直後、さらなる激震が走ることになる。山口百恵、森昌子と一緒に「花の中3トリオ」といわれ、アイドルとしての地位を確立していた桜田淳子も入信していたことが明らかになったのである。
しかも合同結婚式にも参加するということを、会見を開いて自らが語った。彼女の姉が熱心な信者だったため、感化されて入信したという。
文春(1992年7/9日号)によれば、彼女は「霊感商法」にも関わっていたようだ。後に彼女が所属していたサンミュージックの相澤秀禎社長は文春に対して、桜田から壺を200万円で売りつけられたと語っている。
だが、桜田は会見で、霊感商法について記者からの質問に、「霊感商法は詐欺だと考えていません」といい切ったのである。
そしてキャスターとして人気があった飯干景子が入信。
山崎と飯干は肉親の懸命な説得が実り脱会することに成功したが、桜田はいまだに信者のようだ。
世界平和と家庭の幸福を願っているかのように装う旧統一教会は、他人の不幸に付け込み、心の中に入り込んでマインド・コントロールするだけではない。長い間、政治の世界にも広く深く根を張り、金と信者たちを使って政治家たちを操ってきたことも知られている。
日本の事件史の中で初めてといっていい、個人的な恨みで要人を暗殺する凶悪なテロ事件を機に、メディアは総力を挙げてこの教団の闇を暴き、マインド・コントロールされている信者たちを救い出し、政治家にはこの教団とのパイプを断ち切れと求めなくてはいけない。
そうしなければ、今後、第二、第三の山上事件が起こることになる。私はそう考えている。
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