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日刊サイゾー トップ > エンタメ > テレビ  > KinKi Kidsと吉田拓郎の静かな絆

『LOVE LOVE あいしてる』最終回と吉田拓郎にとってのKinKi Kids

堂本光一公式インスタグラムより

 7月21日、特別番組『LOVE LOVE あいしてる最終回・吉田拓郎卒業SP』(フジテレビ系)が放送された。1996~2001年の約4年半レギュラー放送後、2017年に16年ぶりに特別番組として復活して以来、5年ぶりの放送となった。改めて番組が“最終回”に至った背景には、2022年限りで音楽活動からの引退を表明していた拓郎が、最後のテレビ出演としてこの番組を選んだことがある。

 最終回には、番組でお馴染みのメンバーであった篠原ともえや坂崎幸之助(THE ALFEE)、番組のバックバンドを務めるLOVE LOVE ALL STARSをはじめ、ゲストとして木村拓哉、あいみょん、奈緒と、拓郎が一目を置く面々が集結、拓郎最後のテレビ出演に華を添えた。また、今回のために拓郎とKinKi Kidsが合作した楽曲「Sayonara あいしてる」が番組最後に披露された。歌唱後にKinKi Kidsから花束を受け取った拓郎が無言のままうつむく場面も見られ、感慨深い内容となった。

 番組が放送された7月21日は、KinKi Kidsのデビュー曲「硝子の少年」(1997年)が発売された記念日だ。2022年は、KinKi Kidsのデビュー25周年にあたる。その2022年いっぱいで拓郎が引退し、KinKi Kidsにとっての大きな記念日に拓郎が最後のテレビ出演をする。運命的な面もあるが、敢えてこの日に『LOVE LOVE あいしてる』の最終回が放送されるということに、吉田拓郎という歌手とKinKi Kidsというアイドルにとって、お互いが特別な存在であるという強い想いがうかがい知れる。

 最終回とあって、内容も随所に特別感があふれていた。番組の目玉のひとつは、最終回のゲストとして登場した木村拓哉が、後輩の生田斗真、風間俊介を引き連れて、KinKi Kidsの歌う「硝子の少年」でバックダンサーを務めたシーンだ。拓郎が「カッコいいことが好き」という理由でゲストに木村を指名し、SMAPを兄のように慕うKinKi Kidsの後ろで木村が全力で踊る姿は、番組を大いに盛り上げた。

 さらに拓郎が音楽を絶賛した歌手あいみょん、熱烈な拓郎ファンで拓郎最後のアルバム『ahー面白かった』(22年)のジャケット写真(アナログLP盤)を飾った女優・奈緒といった所縁のある出演者と共に語り、共に歌った。明石家さんまのサプライズ登場もまた、拓郎とさんま双方のリスペクトにあふれていた。場面ごとに見せる拓郎の満足そうな表情は、最後のテレビ出演にふさわしい濃密さを物語った。

 しかし番組全体を通して見ると、『LOVE LOVE あいしてる』のレギュラー放送を知る視聴者には、当時に近い雰囲気を感じられる内容だったのではないだろうか。KinKi Kidsと吉田拓郎の飾らないやりとりも、20年以上前の3人を彷彿とさせた。内容は確かに、最終回らしいスペシャルな演出もあったが、当時と同じようなセットの中で、当時と同じような距離感で、自然体で笑い合う姿は、ある意味でKinKi Kidsをはじめ、番組全体の気遣いのようにも思われた。最終回特有の過剰な演出は極力排除され、通常に近い進行だった点に、むしろ最終回に込められた特別な想いがリアルに感じられた。

 KinKi Kidsももちろん番組の主役だが、最終回という以上にこの放送に特別な意味をもたらしていたのは、やはり吉田拓郎であったことは間違いない。拓郎の人生における大きな決断を、KinKi Kidsはじめ、キャストとスタッフ、そしてゲストが全力で後押ししたことが、今回の特別番組につながったことは言うまでもない。そしてそれを実現させたのは、多くの人を長年魅了してきた拓郎自身の圧倒的なパーソナリティと、その周囲にいるキャスト、スタッフの拓郎に対する愛情であっただろう。その愛情の中心にいたのは、やはりKinKi Kidsという2人組のアイドルであり、堂本剛、堂本光一という1人の人間だったように思う。

 番組の終盤でのトークは、拓郎のKinKi Kidsに対する思いがあふれるものとなった。合作曲「Sayonara あいしてる」の作詞に触れ、「番組を始めた頃のことを思い出して。光一くん、剛くんがどんな時間を過ごしたんだろうなって考えて」と語るシーンがあった。そして、2人が感謝を述べる中、拓郎が剛と光一に対し、「俺にとって君たちは本当に大きい存在」と真摯に語っていた姿は、最終回の大きなハイライトだった。

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