トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > カルチャー > 映画  > 吉岡里帆が盲信的な女性を熱演

吉岡里帆が盲信的な女性を熱演する、凄惨な沖縄戦を描く力作『島守の塔』

戦禍を通じて生命の尊さを示す

 タイトルになっている「島守の塔」とは、沖縄県糸満市の平和祈念公園内にある、島田叡と荒井退造をはじめ、県民の安全確保のために身を投げ出した戦没県職員469柱を祀る慰霊塔だ。それが建てられる理由、転じて「物語」を知ることもまた、本作の意義だろう。

吉岡里帆が盲信的な女性を熱演する、凄惨な沖縄戦を描く力作『島守の塔』の画像3
C)2022 映画「島守の塔」製作委員会

 また、重要な役柄を演じる香川京子は、本作と同じく沖縄戦を描いた『ひめゆりの塔』(1953)にも出演していたという文脈もある。彼女が劇中で口にする言葉こそ、本作のテーマそのものと言っていい。

 あえて気になったことを指摘するのであれば、やや説得力に欠けた画やシチュエーションが、いくつかみられたことだろうか。とはいえ、コロナ禍のために1年8カ月もの撮影中断を余儀なくされ、いくつかの撮影は取りやめになり、そもそもの予算が限られた中でも、最大限に沖縄戦や空襲の悲惨さを提示する尽力は、役者陣の熱演や撮影の工夫から存分に伝わる。戦禍を通じて生命の尊さを示す試みは、間違いなく成功していたと言っていい。

吉岡里帆が盲信的な女性を熱演する、凄惨な沖縄戦を描く力作『島守の塔』の画像4
C)2022 映画「島守の塔」製作委員会

 何より、沖縄戦のことを全く知らなくてもわかりやすい内容であるし、前述したコメディ的なシーンなどの親しみやすさもある。お堅い内容だろうと敬遠されることなく、より多くの方に観てほしいと願える一本だ。

吉岡里帆が盲信的な女性を熱演する、凄惨な沖縄戦を描く力作『島守の塔』の画像5
C)2022 映画「島守の塔」製作委員会

『島守の塔』

7月22日(金)よりシネスイッチ銀座ほかにて全国公開
萩原聖人 村上淳
吉岡里帆 池間夏海/榎木孝明/成田浬 水橋研二/香川京子
監督・脚本:五十嵐匠  脚本:柏田道夫  音楽:星 勝
製作:映画「島守の塔」製作委員会 
配給:毎日新聞社 ポニーキャニオンエンタープライズ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会
C)2022 映画「島守の塔」製作委員会

ヒナタカ(映画ライター)

「ねとらぼ」「cinemas PLUS」「女子SPA!」「All About」などで執筆中の雑食系映画ライター。オールタイムベスト映画は『アイの歌声を聴かせて』。

Twitter:@HinatakaJeF

ひなたか

最終更新:2022/07/23 11:30
12
ページ上部へ戻る

配給映画