石橋貴明が言及で再燃…「呼び出し先生タナカ」パクリはどう問題なのか?
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バラエティ制作における“カノンのコード”問題
つまり、企画の本質的な部分、構造的な部分を使うことは「パクリ」とは言われないわけです。『呼び出し先生タナカ』が「パクリ」と言われている大きな理由は、MCが学校の教室セットの教壇に立ち、集めたタレントに事前に行ったテストの回答をモニターに表示して、おバカをイジっていくという表面的なパッケージングや見せ方の部分です。
「おバカタレントを集めてテストを受けさせて、バカ回答をイジって笑いにしていく」というコンセプトが同じだったとしても、全く別の見せ方をしていたら「パクリ」と言われることはなかったと思います。
本質を盗んでもパクリにはならず、表面を盗むとパクリとされてしまう。
よく考えると不思議です。言葉だけ見ると前者のほうが悪質に思えてしまいますが、実際は逆。そして、バラエティの企画に限らず、ほぼ全てのエンタメにこれは当てはまる気がします。
「ヒットする楽曲のほとんどがカノンのコード進行である」といった旨を、芸人のマキタスポーツさんが提唱されていますが、音楽も本質的・構造的な部分を盗むことは「パクリ」にならないということです。
劇や映画・ドラマに関しても「シェイクスピアの時代に物語のプロットパターンは出尽くしている」といったことが言われています。
「パクリ」に端を発しましたが、ここから「ヒット企画の考え方」のようなものが見えてくる気がします。言葉を選ばずに言えば「ヒットした企画の構造をうまくパクって、バレないように表面のパッケージングや見せ方をズラす」ことが出来れば、ヒット企画を考える確率が上げられるのではないかということです。
当然、このような考えはすでに多くの有識者によって語られており、岡田斗司夫さんがYouTubeの動画で「既存のヒット企画をズラしたアイデアの作り方」について興味深い講義をされていますので、そちらをご覧ください。あれ以上の解説は、私には出来ません(笑)。
最後に、「パクリ」の是非について私の考えを述べておきますと、私は倫理観にはあまり興味がありません。エンタメのコンテンツを芸術的な「作品」と考えるのか?「商品」と考えるのか? で、「パクリ」への見解は大きく変わってくるでしょう。前者の人は『呼び出し先生タナカ』を批判するでしょうし、後者の人は「ビジネスの世界でパクリなんて当たり前。戦争なんだから」と擁護するでしょう。
私の場合はやや後者寄り。「パクリは悪いことである」というよりは「パクリと思われることは、コンテンツにとって害である」という考えです。「パクリ」であったとしても、そのコンテンツが結果を出せるのならば私は問題だと思いません(あくまで法的な部分は犯していないという前提ですが)。
問題は「視聴者に与える既視感によるコンテンツに対する評価の低下」だと思っています。人は見たことがあるもの(=既視感)に心は大きく動きません。「パクリ」と思われた時点でそれは発生しますから、倫理的なことは置いておき、商業的に見て問題です。だからこそ、コンテンツが「パクリ」と思われることは避けなければいけないと思います。
『呼び出し先生タナカ』について、裏の事情は全く知らないのですが、どれだけ「パクリ」と思われようが今後、コンテンツとして結果を出し続けるのであれば「何も問題はないのではないか」と、個人的には思います。番組スタッフも世間から「パクリ」と指摘されることは折り込み済みで、番組を制作したはずです。こういった世間からの反応が出ることを、予想できなかったはずはありませんから。
今後、この番組がどういった結果を残していくか、非常に興味深く見ていきたいと思います。
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