石橋貴明が言及で再燃…「呼び出し先生タナカ」パクリはどう問題なのか?
#深田憲作 #企画倉庫 #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
放送作家の深田憲作です。
「企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。
今回のテーマは「『呼び出し先生タナカ』のパクリ騒動について」です。
今年4月からフジテレビでレギュラー放送を開始した『呼び出し先生タナカ』という番組が同局の『めちゃ×2イケてるッ!』で人気だったテスト企画のパクリだとされている話題です。
先日も、石橋貴明さんのYouTubeチャンネルに濱口優さんが出演した際に、石橋さんがこの騒動に触れたことがネット記事になっていました。レギュラー放送開始以降の『呼び出し先生タナカ』に関するネット記事の多さから見るに、少なからず世間の方々も、テレビ番組のパクリ問題には関心があるようです。
これを受けて私は『呼び出し先生タナカ』について、というよりは「バラエティコンテンツのパクリ」について考えてみたいと思い、本コラムを執筆することにしました。
テレビ制作の世界でも「あれはあの番組のパクリだ」といった会話はよく交わされます。しかし、音楽などに比べるとバラエティの企画は権利的な部分が曖昧なため、法的に問題になることはほぼありません。モラルの問題として番組の会議や個人間の噂話でやり玉に挙がるくらいです。芸能人の不倫問題ぐらいの感じでしょうか(笑)。
まずバラエティの企画においては何をもってパクリとするかは、線引きや定義が非常に難しいです。例えば、ドッキリ番組を企画した時に「これは『スタードッキリ(秘)報告』のパクリだ!」と言われてしまうと、テレビ制作の幅は非常に狭められてしまいます。
それに、ビジネスの世界と同様に、他の番組の構造や一部分の要素を引用してテレビ制作をする行為は、制作者の全員が行っていることです。例えば、出演者のコメントにテロップを入れる演出は『探偵ナイトスクープ』が初めて行ったと言われているのですが、今では全ての演出家がコメントにテロップを入れるという演出を行っています。これを「パクリだ」という人はいないでしょう。
では、どんな時に「パクリ」と指摘されてしまうのか?
それは企画の表面的なパッケージングや見せ方が酷似している時だと思います。どういうことかというと、例えば『呼び出し先生タナカ』の場合、“おバカを面白がる企画”というだけであれば「パクリ」と言われることはなかったはずです。かつて人気を博した『クイズ! ヘキサゴン』(フジテレビ系)での、おバカをいじっていくスタイルは『めちゃイケ』のテスト企画より後に作られたものですが、それが「めちゃイケのパクリ」とは言われていなかったはずです。なぜなら、やっていることの本質は同じでも、表面的なパッケージングや見せ方が別物だったからです。
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