『ジュラシック・ワールド』に1作目へのオマージュ盛り込まれまくった理由
#金曜ロードショー #しばりやトーマス #金ロー
『ジュラシック・パーク』はまだまだ現役なんだぞ! のメッセージ?
ひとつは以前の3部作の設定や展開をなぞっていることだ。登場する恐竜や無秩序な繁殖を防ぐために全部雌だったり、パークのオーナーである人物は何かというと「金に糸目はつけない」と口にしたりする。
本作にはクレアの甥っ子、ミッチェル兄弟が出てくるが、二人の両親は離婚の危機に瀕している。このシリーズには必ず離婚の危機にあったり、すでに離婚している夫婦が出てくる。これはスピルバーグ自身も子供のころに両親が不仲で、離婚しないでほしいとずっと願っていたという影響から、製作した多くの作品に夫婦やカップルが別れる危機を乗り越える話を盛り込んでいることへのオマージュだ。
他にも一作目と似たようなカットやシーンが登場し、ファンならニヤリとする展開が目白押し。
もうひとつは世代交代だ。劇中クレアのセリフに「20年前は誰もが恐竜に驚いたけど、今では当たり前でそれだけじゃ誰も驚かない」というものがある。
『ジュラシック・パーク』が1993年に登場した時は、世界中が本気で驚いた。
以前、『ジュラシック・パークⅢ』の基礎知識のところでも書いたが、それまでの映像表現における恐竜は大抵がモデルアニメ、コマ撮り映像だった。『ジュラシック・パーク』のCGは、モデルアニメの恐竜の時代を終わらせた。ありとあらゆる映像にド迫力のCGが登場するようになり、今や一作目の『ジュラシック・パーク』のCGすら、古臭く思えてしまっている。
だから2015年に『ジュラシック・ワールド』が公開されるときには「今更ジュラシック・パーク? もう古いよ」「いつまでやってんの?」なんて悪口をたたかれたものですが、公開されるや否や一作目を上回る興行成績を記録し、ジュラシック・パークシリーズはまだまだ、稼げることを証明した。
そして映画のクライマックスは最新型恐竜のインドミナスに対して、一作目に最強生物として登場したティラノサウルスとラプトルの混成チームが立ち向かう。一作目で敵同士だった恐竜が手を組んで戦うという胸熱展開。これにはもちろん「簡単に世代交代は許さん」「ティラノがまだまだ最強なんだぞ」という主張とともにCGの進化により「かつての人気映画」という地位に貶められていた『ジュラシック・パーク』はまだまだ現役なんだぞ! というスピルバーグ、そして製作サイドの力強いメッセージのように受け取れるのだ。
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