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『あえいうえおあお』超変則的な“女性アナウンサー利活用番組”がフジを救う?

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『あえいうえおあお』(フジテレビ系)に登場した宮司愛海アナ(7月8日放送回、FOD公式サイトより)

 ナインティナインの矢部浩之とフットボールアワーの後藤輝基といえば、いずれも当代きっての番組進行の名手。そんな2人がタッグを組んだ深夜番組『あえいうえおあお』(フジテレビ系)が、7月8日から静かにスタートしている。

「『あえいうえおあお』は放送時間が金曜25時。本来、ゴールデンでMCをやるタレントが2人も揃うような時間ではありませんが、番組の中身はもっと異例です。

 番組は、“取材のプロ”であるアナウンサーが、自身が知りたいことを取材し、矢部と後藤がそのVTRを見てコメントするもの。初回に登場した宮司愛海アナは、“ヒップホップが好きなので、ラッパーにリリックの書き方を聞きたい”と街に出ますが、話を聞かせてくれる人がなかなか見つからないまま、気が付けば喫茶店で女性アナウンサーとしての悩みを語り出し、やがてカラオケ、買い物、さらに海辺で花火と、まるでデートのような雰囲気の映像が続いたまま番組はエンディングを迎えます。

 15日に放送された2回目の小山内鈴奈アナも同様で、“いいゲーム実況とは何なのか”を調べるべく街に出ますが、やがて普通にランチを食べ、ブルーベリー狩りに行き、アウトドアサウナを楽しみ、やはりデートのような映像が続いて番組は終了。後藤は厳しめに『ちゃんとやれ』とツッコミますが、矢部は寄り添い気味に『これでエエと思う』と返すのが“お約束”になっています」(テレビ情報誌記者)

 まだ放送が2回なので、今後については不明だが、さながら“女性アナとの疑似デート番組”といった雰囲気の『あえいうえおあお』。“実験的”というのも憚られるほど尖った内容のこの番組は、業界が注目する制作陣が手掛けている。

「『あえいうえおあお』は、去年の冬と今年の春に2度にわたってフジテレビの深夜で放送された『ここにタイトルを入力』の若手スタッフが手掛けたものです。

『ここに~』は、街ブラ番組の撮影データが全部消えてしまい、防犯カメラやドライブレコーダーなどに映り込んだ映像で番組を構成したり、恋愛ドラマの撮影費用がなくなっていくにつれて、セットや衣装がどんどんショボくなっていったりと、その内容は毎回、超シュール。テレビ業界人の間でも大きな話題となりました。『あえいうえおあお』は、冒頭だけを見れば“普通の番組”かと思いましたが、やはり一筋縄ではいかない番組でした」(民放バラエティ番組制作関係者)

 視聴者をおちょくったような内容に、クレームが上がっているかと思いきや、Twitterには……

「宮司愛海ちゃんがひたらすかわいいだけの30分でした」
「途中からカメラの質感変わって彼氏目線になるの面白いな」
「宮司アナの良さが存分にでてる。超かわいい。 ツッコミを2人にするのも見やすくて最高」

 といった好感触の声が続出。フジテレビは現在、視聴率争いで厳しい戦いを強いられているが、これが反転攻勢のきっかけになるかもしれない。

「フジの黄金時代を支えたのは、もちろんタレントや企画の力もありますが、やはり女性アナ軍団の貢献も大きかった。内田恭子、高島彩、中野美奈子、加藤綾子といった看板アナの人気はタレントをも上回るものがあり、彼女たちを起用するだけで好視聴率が約束されたような時期もありました。

 それと比べるとここ最近、フジの女子アナは“小粒化”していますが、とはいえアナウンス室には大学時代のミスキャンパスコンテストでグランプリを取った逸材がゴロゴロといます。『あえいうえおあお』で見せているような、普段めったに見られない女子アナの“素の顔”を紹介すれば、きっと人気が出るアナはいるはず。女性アナのタレント化については賛否の声がありますが、持っている武器はどんどん使うべきで、『あえいうえおあお』のような試みは遅すぎるぐらいでしょう」(キー局関係者)

 フジテレビにしてみれば、ギャラのかからない社員で数字が稼げるなら一石二鳥。自局の女子アナプッシュが、低迷の打開のカギになるかもしれない。

木村之男(芸能記者、TVウォッチャー)

1972年生まれ、東京都出身。大学時代にライターとして活動し始め、出版社~編集プロダクションを経てフリーに。芸能・カルチャー・テレビ・広告業界などに精通する。趣味はテレビに映った場所を探し出して、そこに行くこと。

きむら

最終更新:2022/07/22 11:00
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