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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > Mr.Childrenはご時世を切り取る
#ショウムライター"おっさんの讃"

Mr.Childrenは、ご時世とやらを時に愛おしく時に残酷に切り取って見せる

ミスチル30周年「シーソーゲーム」からの「innocent world」という圧倒的以下略

 そんな圧倒的世代感時代感を喰らった後はもう、である。1曲挟んで「シーソーゲーム ~勇敢な恋の歌~」からの「innocent world」と言う再びの圧倒的以下略。前者は未だにカラオケで誰かが熱唱している様をよく聴くし、後者に至っては当時タイアップで流れていたCMの内容まで覚えている始末だ。レモン風味のアクエリアスイオシス、好きだったなあ……(遠い目)。

 とろける程にメロウな「車の中でかくれてキスをしよう」を、リズム隊を排したミニマルな編成で届けてくれた際にはつい、最近別の友人が替え歌で「車の中でかくれてピスをしよう」と歌っていたのがチラついてしまい(pissとは小便を指すスラング。台無しです)、何て事をしてくれたんだとはらわたが煮えくり返るも、次曲の「Sign」の”ありふれた時間が愛しく思えたら”の一節にてこんなんがありふれた時間である我が身を呪いつつも確かにそれはそれで愛しいので良しとする事にした。つうか野外で聴く「Sign」が気持ち良過ぎた。

「others」では思わず酒が飲みたくなる(CMにほだされやすい)もミスチルと出会った当初からを振り返るに、そこに経過したおよそ25年の月日を思ってまたびっくらこいたり、続く「Tomorrow never knows」で再びの落涙をし、「エソラ」「GIFT」で大団円。

 そしてアンコールでの「HANABI」と先述の「生きろ」にて大々団円と相成る訳である。

で、最後に3つめのご時世感について。よくライブで観客が声を出せないと言う事に悲観的な見解をよく目にするが、これは演者観客がどう思うかではなく、超個人的な見解として初めてミスチルのライブに行った身としては、その歌声を耳で独り占めしつつ、手拍子やらの身振り手振りでシェアも出来たので、それはそれでとても良い体験であったと言う事。

 そして今もなお己が輝かしい軌跡を更新しまくっとるミスチルがこうして、30周年を迎えた記念公演に『半世紀へのエントランス』と言う名を冠した事。曲も然りであるが、常にその歌詞で決して今に始まった訳でもなければこの先もきっとそうであろうその時々のご時世とやらに蠢く悲嬉交交を、時に愛おしく時に滑稽にまた時には残酷に、切り取って見せている事に他ならないのではないだろうか。この先何が起ころうとも、ミスチルがまたそれをネタに良い曲作って聴かせてくれると信じりゃ悪くもない。割とコンプラとも戦って来たバンドな印象もあるしね。

 最近になってまたよく聴く様になった「everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-」の締めの一節なんか今や黙示録的でもある。

“皆 病んでる 必死で生きてる”

 つうこたぁ多分、今も昔もきっと未来もそうなので、つうこたぁ多分、何だかんだで大丈夫なのだ。

とミスチルが歌ってくれている様にも聴こえ、ついでにあの世の児玉清が”その通り”と言ってくれた様な心境にもなり、それに反してこの世のタモリが”んなこたぁない”と言った様な気もしたので、おっさんはイヤホンのボリュームを上げたのであった。

庄村聡泰(コラムニスト・スタイリスト)

ロックバンド[Alexandros]のドラマーとして2010〜21年に活動。バンド時代の収入ほぼ全てを注ぎ込むほど傾倒した音楽や洋服を中心に、映画やマンガ、アニメやグルメ、世界各地の珍スポットなどのさまざまなカルチャーに精通し、これらの知識と経験を生かしてライフスタイル提案型ファッションブランド「スナック NGL」を始動。また、歌劇な過激団 @furaku_taru の制作総指揮を務めるなどプロデュース活動や、#サトヤスタイリングとしてファッションスタイリングや、#ショウムライターとして音楽や映画をはじめさまざまなメディアでインタビューやコラムを執筆。自ら映画にも出演するなど精力的な活動を広げている。 #サトヤスタイリング #ショウムライター インタビュー

Twitter:@shomurasatoyasu

Instagram:@shomurasatoyasu

庄村聡泰のホームページ

しょうむらさとやす

最終更新:2022/07/25 08:00
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