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安倍元首相銃撃、山上容疑者凶行の裏に“日本人総健忘症”とメディアの怠慢

安倍元総理の恩師語る“負の評伝”

 さて、安倍晋三がいなくなれば、補選を行わなければならないが、衆院山口4区は1票の格差問題が最高裁で続いていて、判決が出るまで選挙を行えない。

 したがって補選は来年4月以降になるといわれているようだ。だが安倍の後継をめぐって人選が難航しているというのだ。

 そこでウルトラCは、なんと、安倍昭恵出馬ではないかと取り沙汰されているというのである。人望はどうかわからないが、人気はある。同情票を含めて出馬すれば大勝することは間違いない。

 あとは本人次第だが、なんにでも深く考えない昭恵だから、新潮は、可能性はあるのではないかと読んでいる。

 文春は、安倍晋三の評伝を掲載している。その中で、人付き合いが天才的に上手かった、友人を大切にする、地球儀を俯瞰する外交と称して、世界を回り、首脳たちと親交を深め、中でも、ドイツのメルケル首相は安倍に強い信頼を寄せていたなどなど。

 だが、こういうエピソードは入っていない。

 安倍の母校・成蹊大学の大学長を務め、安倍の恩師でもある宇野重昭は、『安倍三代』
(青木理著・朝日新聞出版)の中で涙を浮かべながら、安倍のことをこう語っている。

「(違憲だと批判された安全保障関連法制は)間違っていると思います。私の国際政治学
(の授業)をちゃんと聞いていたのかな、と疑っているところです。(中略)はっきり言って彼は、首相として、ここ2,3年ほどの間に大変なことをしてしまったと思っています。憲法解釈の変更などによって平和国家としての日本のありようを変え、危険な道に引っ張り込んでしまった」

 安倍も含めて評伝というのは、負の部分も正確かつ鋭く書かなくては、単なる提灯記事になってしまう。

 今回、山上容疑者は、旧統一教会に対する恨みで、同団体と関係が深いと思われた安倍元首相を狙ったと供述している。

 われわれの世代は、統一教会、霊感商法、合同結婚式、勝共連合と、芋づる式に出てくるが、今の30代40代の記者やジャーナリストにはピンとこないらしい。

 統一教会と安倍との関係は文春で統一教会関係者がいっているように、

「統一教会は古くから保守政治家との関係が近かったのは事実です。その基盤は、一九六八年に創始者・文鮮明氏が設立した、反共主義を掲げる政治団体政治団体『国際勝共産連合』。“戦後のフィクサー”笹川良一氏が名誉会長に就き、笹川氏との交友で知られた岸信介元首相も勝共連合の設立に尽力したとされています」

 岸の孫である安倍元首相との関係は様々いわれているが、霊感商法などで世論の厳しい批判を受けた統一教会が名称変更を求めたがなかなか認められなかったのに、一転、文化庁が承認したのは安倍政権時代だったことをみれば、無関係というのは無理がある。

 1980年代の半ばには、朝日ジャーナルが統一教会のやっている霊感商法の悪質さを連続追及して話題になった。

 1990年代初めには、歌手の桜田淳子、新体操の女王・山崎浩子、ニュースキャスターの飯干景子たちが統一教会に入信、または入信を隠していたことが明らかになり、大きな騒ぎになった。

 その後、山崎と飯干は「脱会」するが、桜田は現在も教会の広告塔として活動しているようだ。

 山上容疑者の母親が統一教会に入信したのは、そうした騒ぎがマスコミをにぎわしていた頃だった。

 山上の話にいく前に、今回の狙撃事件がなぜ防げなかったのかについて見てみよう。

 安倍元首相が背後から撃たれたシーンがテレビで何度も流れるが、なぜ、車道を突きって安倍に近づく山上を阻止できなかったのだろう。

 ビデオで見る限り、安倍の後ろを目配りしているSPがいないのはなぜなのか。警備の不手際ですませられる話ではない。

 平和ボケという言葉がよく使われるが、まさに、SPや警護の警察官たちも平和ボケしていて、まさかこの国で実際にテロが起きるとは全く考えていなかったのだろう。

 その油断を突かれたのだ。皮肉なことに、現在の警察庁長官は、安倍元首相ベッタリの元TBSの山口敬之が伊藤詩織をレイプした疑いで、逮捕されようとした直前、待ったをかけ、その功績でとんとん拍子に出世した中村格である。

 安倍元首相や菅前首相と親しかったことを武器にのし上がり、トップの座に上り詰めたが、自分を引き揚げてくれた人が、警備の決定的なミスで殺されてしまったのだから、責任は免れないだろう。

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