庄村聡泰(ex-[Alexandros])、ムロ×岸井の快作『神は見返りを求める』でイヤなヤツを演じる
#映画 #ショウムライター
※本稿には若干の作品へのネタバレがあります。
お送りした曲は四人囃子で「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」でした。国産プログレの草分けにして頂点。去年のフジロックでは配信観ながら泣いたなあカッコ良過ぎてと言う記述は下記の”1.配信ライブ”にある通り。
冒頭の楽曲は1975年にシングルとして発売された楽曲であるが当曲の2Aに当たる箇所の歌詞は以下であり、
“映画に出たことのない人は
乗せてあげられないって
円盤はすまなそうに
そう言ったよ
でも弟は一度だけ 映画に
出たことがあるのサ”
先頃の6/24に公開となった吉田恵輔監督最新作『神は見返りを求める』を以ってして、おっさんは目出度く空飛ぶ円盤に乗る権利を所有する事と相成った。まあ俺弟じゃなくて兄なんすけどね。
飲み会で出会った事を切っ掛けにイケてないYouTuberであるゆりちゃん(岸井ゆきの)の手伝いを無償で買って出る田母神(ムロツヨシ)。微笑ましくも涙ぐましいYouTube活動の最中、ゆりちゃんに転機が訪れる。
人気YouTuberとのコラボによる捨て身のボディペイント動画がバズり、彼女の生活と性格は一変。それに伴い半ば、捨てられる形でお役御免となった田母神は何と、ゆりちゃんの暴露系YouTuberへと転身し、彼の生活と性格も一変。泥仕合を繰り広げるのだが……と言った内容の本作。
昨年公開のボクシング映画『BLUE』と、一風変わったクライムサスペンス『空白』に続き、昨今では珍しい(と同時に大快挙でもあると思う)3作連続の自身オリジナル脚本となった。
こちらにおっさんは少しだけ出演させて頂いておりますよ、というお話でありその経緯は下記の”9.新井英樹と吉田恵輔”
https://www.cyzo.com/2022/01/post_300133_entry_2.html
の前日譚とも言える
に詳しい(5:27くらいからこの話になります)。
吉田恵輔監督と引き合わせてくれた新井英樹先生、並びに新宿ゴールデン街マチュカバー。
新宿ゴールデン街マチュカバーと引き合わせてくれたクリープハイプ尾崎世界観。
カイジで言う所の感謝圧倒的感謝に尽きる思いである。
生活と性格が一変するに当たってのゆりちゃんの掌返しは痛快でもあり滑稽でもあり儚く物悲しくもあり(それは田母神も同様なのだが)、特にスタイリングも請け負う身としてはブカいスウェットの首元からブラジャーの肩紐が見えたまんまの格好からのヴァレンチノのダウンジャケットには何だかあるあるネタの極地を見せられた感覚で爆笑の一幕であったし、ファミレスシーンに於ける田母神の”すごいね!”にも爆笑。
”思いやり”や”気遣い”と言う建前を外された2人の泥仕合は手に汗を握る思いであったし、自撮り棒フェンシングには本音とはかくも醜く美しい物であるのかと、貶し合っている様にも讃え合っている様にも、また殺し合っている様にも愛し合っている様にも見えて、少し泣いてしまった。
全てを記録として残す事が出来る携帯電話には明確に、人を殺す力があり”馬鹿と鋏は使い様”ではないが自らが、そして人々が携帯する電話機の恐ろしさにぞっとしたり、急加速的に色々な事が起こるラストへの展開に目を白黒させたりと、笑って泣けて戦慄した上ハラハラドキドキはしっ放しと言う、個人的には映画に求めるエンタメ体験のヤサイマシマシニンニクアブラカラメという趣きであった。意外な事に割としっかりしたグロ描写もあったしね。
監督、ご馳走様でした。めちゃくちゃ面白かったです。
因みにおっさんの役どころに名前はなく、人気YouTuberの仲間入りを果たしたゆりちゃんが参加するパーティにて
“主賓のシャンパン(超高額)を勝手に空けて下卑た乾杯の発声をした後ゆりちゃんに不躾な絡み方をするドレッドのキナ臭えイヤなヤツ”
を演じた次第なのであるが、銀幕に映るおっさんはまあまあちゃんとイヤなヤツであった。良かった。
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