トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • x
  • feed
日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > 『IPPONグランプリ』のホモソーシャル性
タカ&ユージのあぶないお笑い批評

「IPPON女子グランプリ」が浮かび上がらせた『IPPONグランプリ』のホモソーシャル性

なんの“姿勢”も打ち出さなかったNHK『笑いの正体』

「IPPON女子グランプリ」が浮かび上がらせた『IPPONグランプリ』のホモソーシャル性の画像2
NHK『笑いの正体』HPより

ユージ 『まっちゃんねる』での男性芸人たちのリアクションもそうだったように、女性たちの笑いのとり方に男性芸人がコメントする際、どういう態度をとるべきか男性側が決めかねているような雰囲気が最近増えたと感じます。

タカ あるある。妙に優しくしようとしたり、気を遣いすぎていたり。

ユージ NHKの『笑いの正体「女芸人の生き方」』(7月5日放送)でAマッソ加納がそこを指摘していましたね。「男性MCが女性芸人に話を振ったとき『女の子がしゃべってるから聞いてあげよう』という雰囲気があって、変に気を遣われているなと思うことがある」と。

タカ 加納がインタビューで言っていたことは、彼女がこれまでいろんなところで語ってきたことのまとめに近いけど、しっかり引き受けてスカさずに答えていました。

ユージ あの番組、加納のインタビューがなかったらヤバかったと思います。とにかく全然面白くなくて、びっくりしました。インタビュー記事がたくさん並んでるだけで編集方針が存在しない雑誌みたいな……。ドキュメンタリーってそういうことか? と。

タカ インタビューをつなげるだけって、構成としていちばん工夫のない作り方ですよね。インタビューがメインにしても、テーマごとに同じ質問を全員に投げてそれぞれの回答シーンを並べて構成すれば、同じテーマに対して異なる答えが出てきて多面的に見えただろうけど、各自のVTRを順番に流していくだけだったら、1人の考え方にしかなりません。

ユージ 「あなたにとって『笑いの正体』とは?」が共通の質問でしたが、あれはインタビュアーが楽をしているオープンクエスチョン。それこそ大喜利のお題みたいなもので、そこへの回答を並べたってなんの本質も見えてくるわけがない。

タカ 本音を引き出すには向いてない質問ですね。うまいこと言おうとする意識が先に立ってしまうから。それなりにじっくり時間もらって話してもらっているだろうに、もったいなさすぎる。

ユージ あんなしっかりスタジオやらホテルの一室やらとって取材しておいて、この出来かい! って。

タカ そう、上沼恵美子もびっくりの(笑)。えみちゃん、チクッと刺してましたね。

ユージ 最後、「すごいいい部屋やねぇ」と言いながら退出してました(笑)。スタジオトークが圧倒的に弱いのもおもしろくなさの原因だと思います。インタビューVを見たスタジオメンバーが引き取って何を言うかで、印象は大きく変わるはず。でものっけから「上沼さんはやっぱりすごい」「大久保さんの下ネタは品があるよね」みたいな、毒にも薬にもならない話に終始していた。そこに加納のインタビューが来たことで、やっと流さずに応答せざるを得なくなっていました。

タカ 安易といえば安易だけど、あのスタジオメンバーに佐久間宣行プロデューサーが入っているだけでも全然、違ったのでは。女性芸人について語ることはジェンダーについて考えることとつながっている認識が、普段から多少でもある人が混ざっていないと、厳しいでしょう。

ユージ ジェンダーの問題として語るのか、女性芸人個々人の話なのか、番組の企画意図としてそれすら曖昧だったからああいうスタジオメンバーになっているんでしょうね。

タカ 加納のインタビューがなかったら、ジェンダーに寄せて考えるようなくだりすらなかったかもしれない。基本的に「女性芸人をリスペクトしたい!」みたいな地点で留まってしまっているんですよね。

ユージ 私は中居正広MCの番組をあんまり観てないんですけど、彼はジェンダー関連の知識やスタンスはどうなんですか? 今回、メインMCとして機能しているように思えなくて。何を発言していたか記憶にないくらいです。知識がないがゆえに、下手なこと言って炎上するリスクを避けようと言葉少ななのかなと勘ぐってしまいました。

タカ そういうことに関して、勉強してるタイプではないのでは。それなりに芯食った司会ぶりを見せるときもあるけど、それはジェンダーに関連するような話題ではないときですね。そういうところもあってだんだんと“中居の司会”に対する期待値が目減りしていっている感覚はあります。とはいえ、それなりの大物芸人や芸能人に囲まれても腰が引けずに回せる司会者、と考えると彼くらいになるんでしょう。

ユージ 第1回(3月15日放送)がどういうメンバーだったか完全に忘れていたので、今調べたんですが、中居に加えて劇団ひとり、ケンドーコバヤシ、松嶋尚美って、これもだいぶよくわからない並びですね。それでテーマが「漫才論」。

タカ そういえばそうか……別にもともとそんなうまくできている番組じゃなかったんですね。その組み合わせに比べたら、第2回のほうがまだマシなくらいかも。

ユージ 第1回は話が分散しづらいテーマだったから、スタジオの弱さが気にならなかったのかもしれません。2回やってみて、番組側に構成力がないことがバレてきたということなのか。

タカ NHKで中居くん司会の特番なんてみんな出たがるに決まってるんだから、じっくりキャスティングして編集して、ちゃんとつくりこんでほしいですよ。

ユージ 本当に。NHKなら予算もそれなりにあるんでしょうし、もっとがんばってもらわないと困ります。

タカ&ユージ(お笑いウォッチャーコンビ)

お笑いウォッチャー。タカの好きな番組『有田ジェネレーション』(TBS系)、ユージの好きな番組『テレビ千鳥』(テレビ朝日系)。

たかあんどゆーじ

最終更新:2023/02/22 11:46
12
ページ上部へ戻る

配給映画