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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『炎のデス・ポリス』警察署でのバトルロイヤル

『炎のデス・ポリス』警察署内でポリスが積極的にデスりまくり!に引き込まれる

強くてカッコいい女性の物語

『炎のデス・ポリス』警察署内でポリスが積極的にデスりまくりに引き込まれるの画像3
C) 2021 CS Movie II LLC. All Rights Reserved

 前述したように「ヤバい2人が対峙する」だけでも監督・脚本・俳優の演技それぞれが最上級なのだが、さらにトビー・ハス演じるイカれたサイコパスの「乱入」もあって、事態は混沌とした予測不能の展開へとなだれ込んでいく。ほぼほぼ警察署内のみが舞台ながら、さまざまなギミックが込められていて全く飽きさせない。最初から最後までとにかく「面白い」ことが、本作の最大の美点だろう。

 登場人物の8割くらいが悪人である一方で、正義感溢れる新米警官を物語の中心に置いているのも上手い。思考がまともなのはもちろん、確かな信念を持ち行動する誠実な人物なので、観客にもっとも近く、またストレートに感情移入しやすいキャラクターだろう。彼女を演じたアレクシス・ラウダーは『ブラックパンサー』(2018)や『ハリエット』(2019)などの出演経験があるものの比較的無名であるが、今回の卓越した演技力と存在感かを見れば、きっとこれからの活躍も追いたくなるだろう。

 なお、アレクシス・ラウダーはジョー・カーナハン監督から、そのキャラクターがいわゆる「ガンマン」であるため、クリント・イーストウッド主演の映画を観るように言われたそうだ。彼女が実際に観た映画の中には『続・夕陽のガンマン』(1966)や『ダーティハリー』(1971)があったという。確かに、若き日のイーストウッドのような渋くてカッコいい魅力を、彼女に期待しても裏切られないだろう。

 それをもって、本作は「強い女性の映画」にもなっている。「強い女性がゲス男どもに立ち向かう!」というポイントだけを見ると痛快にも思えるが、実際の彼女はこの四つ巴の戦いで傷つき、かなりの絶体絶命にも陥る。それでもなお諦めずに戦う姿を見れば、誰もが応援したくなる、なんなら惚れ込むのではないか。

ゲスな悪人たちのやり取りも面白い

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 その一方で、ゲスな悪人たちもそれはそれで魅力的というのだから、良い意味で気持ちが迷子にもなるし、それぞれのやり取りがブラックジョーク的なので楽しくすらなってくる。特にトビー・ハス扮するサイコパス野郎は、言葉遣いも一挙一動も何から何までふざけていて、しかも嬉々として殺人を犯すため、有り体に言ってムカつくし早く地獄に落ちろと思うのだが、それも含めて目が離せなくなってしまう。特にスーパーヒーローの「マイティ・ソー」への言及は、悔しいけど笑ってしまった。

 さらに、真意がわからないフランク・グリロを信じるか否か? というサスペンスも盛り上げてくれるし、実は完全な悪人ではなくダークヒーロー的な行いもしてくれるのでは? と期待を持たせるジェラルド・バトラーもやはり物語をグイグイと引っ張るパワーがある。

 そして、最後に笑う(生き残る)のは誰か? という、やはりバトルロワイヤル方式だからこそのワクワクを、これ以上ないほどに引き出してくれたジョー・カーナハン監督の手腕にも改めて惚れ込むことができた。ぜひ、劇場で黒い笑いも存分の、派手でバイオレンスなバトルの結末を見届けてほしい。

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『炎のデス・ポリス』

7月15日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷他にて全国公開
監督:ジョー・カーナハン『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』『コンティニュー』
脚本:クルト・マクラウド、ジョー・カーナハン
出演:ジェラルド・バトラー『ジオストーム』『300』『エンド・オブ・ホワイトハウス』、フランク・グリロ『アベンジャーズ/エンドゲーム』、アレクシス・ラウダー『ハリエット』、トビー・ハス『ハロウィン』
配給:キノフィルムズ
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ヒナタカ(映画ライター)

「ねとらぼ」「cinemas PLUS」「女子SPA!」「All About」などで執筆中の雑食系映画ライター。オールタイムベスト映画は『アイの歌声を聴かせて』。

Twitter:@HinatakaJeF

ひなたか

最終更新:2022/07/16 11:39
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