ロッキンとサマソニ「マスク外そう」宣言も、足並み揃わぬ音楽業界
#音楽 #ROCK IN JAPAN FESTIVAL #SUMMER SONIC
7月13日、この夏に開催される音楽フェス『ROCK IN JAPAN FESTIVAL(ロッキン)』と『SUMMER SONIC(サマソニ)』の各事務局が、共同でマスク着用に関するガイドラインを発表した。
その内容は、「マスクを外せるところではマスクを外そう」というもので、<熱中症の発症を抑え、コロナ感染のリスクも抑え、無事にフェスを成功させたいと思います>としている。
新型コロナウイルス感染拡大を受けて、音楽業界では2020年春頃から、鑑賞時の観客のマスク着用や“声出し禁止”が一般的となっている。そんななか、日本を代表する2つの夏フェスが「マスクを外せるところではマスクを外そう」という指針を打ち出すことで、音楽業界が“コロナ前”に戻るための道筋を示すことになる。
「すでに一部のプロレス興業やJリーグの試合では、段階的ながらも観客の声出しが解禁されつつあります。これまでは“脱コロナ”にそこまで積極的ではなかった音楽業界ですが、今回の夏フェスでの“新しいマスクルール”は、大きな一歩になりうるでしょう」(レコード会社関係者)
しかし音楽業界には、簡単に“脱コロナ”に向けて動き出せない事情もある。
「コロナ感染が広まり始めた頃、いくつかのライブ会場でクラスターが発生して、アーティストや運営サイドがバッシングを受けた過去があります。そういったリスクがあるため、なかなか踏み出せないんですよね。でも、複数のアーティストが出演する夏フェスなら、特定のアーティストがバッシングの対象になることもないし、炎天下の野外フェスとなれば“熱中症予防”という大義名分のもとに、“脱マスク”を実現できる。ある種、2つの夏フェスが“脱マスクのための実験台”になるとの見方もできますが、音楽業界全体が前に進んでいくには、こういった形で試みていくのはベストでしょう」(同)
とはいえ、再びの感染拡大による“第7波”が押し寄せている現実もあり、夏フェスの“脱コロナ”施策についても実現できるかどうか不安な部分は多い。音楽事務所関係者はこう話す。
「今回の2つの夏フェスが表明したガイドラインでは、<マスクを外せるところではマスクを外そう>とは謳っているものの、どういったシチュエーションでマスクを外すべきかなど、具体的な内容は明らかになっていません。また、声出しについての言及もなく、“結局、観客に任せるだけなのではないか”とも言われている。
さらにいえば、第7波の到来によって、“脱マスクは無理かも”といった空気も漂い始めています。アーティストをフェスに出演される事務所サイドとしては、どうしていいかわからない状態とも言えます」(同)
さらには、2つの夏フェスの声明に賛同しないアーティストがでてくる可能性も指摘されている。
「コロナに対する考え方はアーティストごとに違うし、事務所によっても濃淡があります。今回フェスの事務局が“脱マスク”に向けて動いているといっても、第7波を受けて、“出演を辞退する”と決断するアーティストがでてきてもおかしくない。音楽業界全体としては一瞬でも早く“脱コロナ”を実現したいけど、なかにはそう思っていないアーティストや事務所もいるでしょうし……。こういった温度差がまた分断を呼び、“脱コロナ”から遠ざかってしまうかもしれない。このあたりの足並みを完全に揃えることが難しいのが今の日本の音楽業界であって、これはもうどうにもならないですね」(同)
2つの夏フェスが踏み出した一歩は効果を見せるのか。模索は続く。
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