映画『キングダム』山崎賢人の「大声出して突っ込めばすべて解決」演技
#金曜ロードショー #しばりやトーマス #金ロー
主演が脇役に食われてどうする?
監督の佐藤信介は『GANTZ』『図書館戦争』『アイアムアヒーロー』といった原作付きの実写化に多く挑んでおり、いずれもかつての邦画ではありえないような壮大なスケール感のある絵作りを成功させている。『キングダム』の監督に抜擢されたのも頷ける話だ。
大平原をバックに大人数が激突する合戦シーンや、緻密に作り込まれたセットでの群闘シーンなどもかなりの迫力であり、橋本環奈や長澤まさみといったアクションの経験がそれほどなさそうな役者もそれなりに見えるのだから、大したものだ。
撮影および役者陣もかなりの高水準のものを見せつけているのだが、それらのクオリティをひとりで下げているのが主演の山崎賢人で、これって「漫画のキャラがそういうものなんだからしょうがないよ」って言われるかも知れないんだけど、彼の演技は邦画にありがちな、一番よくない「登場人物がなんか大声で騒ぎながら突っ込んでいったらすべてが解決する」というやつ。山崎が演じる信はのちに秦の始皇帝を支える武将、李信になるという設定だから、こんな安っぽい描かれ方でいいの? 彼が大声で何かを叫べば叫ぶほど、画面がうすら寒くなっていくのだった。
映画にはのちに重要人物となる将軍、王騎が出てくるのだが、演じた大沢たかおが漫画からそのまま抜け出てきたような演技で、この役をやるために役者になったのではないかと思わせるほどのなりきりぶりで出番こそ少なかれ、山崎賢人と並ぶと役作りの差が克明になるばかり。
王騎は今回ゲスト的な扱いだったけど、次回の『キングダム2』では出番も多いはずなので……このままでいいのか山崎? 主役が脇に食われてどうする?
一作目の映画は約56億円の興行収入で2019年の邦画実写ナンバー1の記録(全体では3位)で、15日公開のパート2は一作目を上回るヒットを目指し、予告編では物語の説明を一切放棄してミスチルの主題歌のサビ「生きろ」を延々と流して歌のイメージだけを刷り込ませようとしていて、映画の方向性がよくわかろうというもの。あとは山崎賢人が何かを叫びながら突っ込んでいる(やっぱり)。
山崎賢人も頑張って「生きろ」と言いたい。
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