「大阪府警も警告」セクシャル動画での恐喝が深刻化、自殺に追い込まれる被害者も
#ソーシャルメディア #セクストーション
相談にやってきた30代の東証プライム上場企業のエリート会社員は、青ざめた表情で経緯を話した。
インスタグラム経由で友人申請をしてきた妙齢の、アジア系の女性とチャットを交わすようになり、やがてもっと頻繁に連絡をとることができるようにとLINEに移行した。
LINEでのやり取りを重ねるごとに親密さはさらに増し、やがて相手の女性は顔写真だけでなく、ヌード写真も送ってくるようになる。
そして、お互いの自慰行為をビデオで見せ合うことを提案される。直接会ったことはないにせよ、女性と十分に親しい間柄になったと信じた会社員は応じた。
直後に、いつも親しげなメッセージを送ってくる女性とは全く違ったトーンの文面が届く。
「動画を家族や会社に転送、またはソーシャルメディアにアップして欲しくないなら、200万円を指定する海外の口座に振り込むように」との指示が書かれていた。
会社員は定期預金を切り崩し、要求金額を払うことを検討している。だが、この恐喝が200万円で済むとは限らない。動画映像は今も相手方の手にあるからだ。
米国では高校生が自殺に追い込まれたケースも
ソーシャルメディアなどのネット経由で出会った相手に、裸の映像や画像などを送り合おうと持ちかけ、送信後に高額な金銭の支払いを要求する「セクストーション」。セックス(SEX)と恐喝を意味するエクストーション(EXTORTION)を合わせた造語で、米国ではデジタル性犯罪の核を成すものとして、米連邦捜査局(FBI)も注意を呼びかけている。
米テネシー州メンフィスの地元紙「ザ・コマーシャル・アピール」の5月18日付記事によると、FBIのインターネット犯罪苦情センターに2021年だけで18,000件以上のセクストーション関連の苦情が寄せられ、被害額は1360万米ドル以上に上った。
日本では大阪府警がホームページで「セクストーション」への警戒を呼びかけており、アメリカほどでないにせよ、国内でもセクストーションによる被害が徐々に増えていることが見てとれる。
https://www.police.pref.osaka.lg.jp/seikatsu/saiba/cyber_cyuikanki/6958.html
そして悲劇は米国カリフォルニア州で今年2月に起こった。
米CNN テレビの5月23日配信の記事によると、米カルフォルニア州サンノゼの高校3年生、ライアン・ラスト君(17歳)がセクストーションの犠牲となり、自らの命を絶った。
https://edition.cnn.com/2022/05/20/us/ryan-last-suicide-sextortion-california/index.html?fbclid=IwAR0GHbDx2ILP4vw4ubUDE9djeskz52FomaGXoluTdCskmhczazhl3Ao-0CY
母親のポーリーン・スチュワートさんがCNNテレビに語ったところによると、息子のライアン君は今年2月のある晩、女性を装った犯人からソーシャルメディアを通してアプローチされた。
チャットを交わし親しくなると、犯人はライアン君にヌード写真を送り、お返しにライアン君にも裸の写真を送るよう求めた。
ライアン君が求めに応じると、犯人はその直後に5000米ドル(約68万円)を要求し、写真をソーシャルメディア上で公開し、ライアン君の家族や友人に送ると脅した。
ライアン君が全額を支払うことはできないと伝えると、最終的に要求額は150米ドル(約2万円)までに下げられた。泣く泣く大学進学のために貯めておいた貯金から支払った。しかし、支払った後も、犯人は更なる要求を繰り返し、ライアン君に精神的プレッシャーをかけ続け追い詰めていった。
ある晩、ライアン君は午後10時にポーリーンさんに「お休み」を言い、4時間後の翌日午前2時に命を絶った。残された遺書は、自らの行動を恥じる内容だったという。
自殺したライアン君はオールAの成績優秀な生徒で、高校卒業後はワシントン州立大学で農業バイオ技術を専攻する予定だった。
サイゾー人気記事ランキングすべて見る
イチオシ記事