元TBS記者の安倍元首相死去“フライング誤報”は性被害認定の打ち消しか?
「深く謝罪します」
7月10日昼、そう題してFacebookに投稿したのは、元TBS記者のフリージャーナリスト・山口敬之氏。8日昼に奈良市で起きた安倍晋三元首相銃撃事件に関する自身の投稿について、全面謝罪したのだ。
安倍氏の“べったりジャーナリスト”として知られる山口氏。8日15時半ごろ、「信頼できる情報筋から、救命措置の甲斐なく安倍晋三元首相がお亡くなりになったとの情報が入りました」と、安倍氏、麻生太郎元首相と親しげに写った写真とともに投稿した。
「事件が起こったのは午前11時半ごろ。ドクターヘリで奈良県立医科大学附属病院に搬送されたが、その時はすでに心肺停止状態だったという。確かに絶望的な状況ではあったが、当然メディア各社は慎重になっていた。そこに山口氏が死亡情報をぶち込んできたわけです」(社会部記者)
昭恵夫人が病院に到着したのは16時55分。それを待つようにして17時3分、安倍氏の死亡が確認された。つまり山口氏の投稿は、フライングの誤報だったことになる。
安倍氏の死亡をNHKが速報したのは17時40分ごろだった。18時過ぎから始まった病院による記者会見で、安倍氏の死亡時刻も明らかにされたが、山口氏はそれを受けて19時過ぎに再度投稿。しかし、「安倍さんの訃報について」と題したこの投稿では、「安倍さんの近親者」「他の複数の情報筋」から「延命措置(輸血)を止め次第死亡の発表をする」との連絡を受けていたと説明し、「私は独自のルートを使って、ご家族にこの事実が確実に伝わっている事を確認して、さらに安倍さんの他の近親者や関係各位にも確認をした上で、皆さんに報告しました」「ご家族に情報が伝わり、昭恵さんが奈良に向かった事を確認した後も、さらに十分な時間をとって各方面に二重三重の確認を取った上で公開したのであって、ご家族への配慮や情報リテラシーの面でも問題があったとは思いません」と主張し、誤報とは認めなかった。
「メディアに先んじて投稿したことへの批判がネット上で相次いでいたため、その反論をしたのです。『悩み抜いた末「確認された情報は出来るだけ早く報道する」というジャーナリズムの基本に立ち返って最終的に判断しました』とも記していますが、誤報の理由になっていない。この慌てふためきぶりは、その日のある報道と無関係ではないでしょう」(同前)
それは、ジャーナリスト・伊藤詩織さんが、山口氏から性被害を受けたとして損害賠償を求めた訴訟で、最高裁が7日付で山口氏の上告を退ける決定をしたと、一斉に報じられていたことだ。伊藤さんの性被害が認定され、山口氏は約330万円の支払いを命じられたのだ。
「山口氏はジャーナリストとしての存在感を出すため、一か八かの大勝負に出たのでしょう。結果として正しければ、山口氏の評価も上がったのでしょうが、そうならなかった。そもそも、伊藤さんの訴訟は、山口氏が安倍政権に近いことに警察庁幹部が忖度して捜査取りやめの判断をしたことに端を発している。もちろん、安倍氏の死去と最高裁判断が重なったのは偶然ですが、安倍氏をめぐる“闇”を感じさせる出来事となった」(同前)
山口氏は冷静になったのか、2日経ってようやく「完全な誤報」だったと認め、謝罪したというわけだ。
もっとも、コメント欄には「動揺するのは当たり前」「すぐに訂正するのは信頼できるジャーナリスト」と安倍シンパと見られる人の「応援メッセージ」が並んでいる。
安倍氏が死してなお、“安倍氏べったり”の人々は存在し続ける事になりそうだ。
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