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綾野剛の演技力を現役講師が解説!日曜劇場で瞳の光が「消えてる」!?

『オールドルーキー』綾野剛の演技は「表情」「瞳」「体の軽さ」に注目

 個人的に、第1話でもっとも好きだった綾野さんの表情は、娘2人にサッカー選手を引退したことを伝えた直後、俯いた際の顔。ここだけ50代のような老けた表情をしているんです。さらに、このあたりから、人の目を真っすぐ見られなくなる様子も、環境と心境の変化をさりげなく表しているなと思いました。

 視線といえば、交通整理の仕事中に「ヴィクトリー」の社長に再会し、一緒に定食を食べる場面にも注目です。初めて会った時は真っすぐ見つめていた社長のことを、このシーンでは見つめることができなくなっているんです。

 そして、「ヴィクトリー」でほかの社員に紹介されるシーンでは、逆に社長のことしか真っすぐ見ることができず、 一方、横浜流星さん演じる現役サッカー選手・矢崎十志也に会う場面では、目が泳ぎ、歩幅も狭く、小者感が出ていますし、椅子に座っている間も背中が丸く、自信のなさが表れています。冒頭の足取りの軽さとは、もはや別人のよう。

 しかし、矢崎と焼肉屋でフランクに会話を交わし、彼の役に立つ術を見つけた後は、キラキラな瞳に戻り、再び会話の相手を真っすぐ見つめることができるように。そういった変化から、亮太郎が自信を取り戻せたことを窺うことができます。

 コロコロと変化する“表情”と“瞳”、“体の軽さ”によって、見ている人に状況や感情を伝える綾野さん。そのあたりに注目して見ていただくと、亮太郎の魅力も、そして綾野さん自身の魅力も、さらに楽しむことができると思いますよ。

秋草瑠衣子(演出家・俳優)

元宝塚歌劇団男役。フリーの演出家・俳優。2017年文化庁新進芸術家海外研修制度に選出され、パリにて演劇教育についての研修に励む。エイベックス・アーティストアカデミーシアター総合コースディレクター。

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あきくさるいこ

最終更新:2022/07/10 13:00
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