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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『水ダウ』“陰口ドッキリ”のずるさ

『水曜日のダウンタウン』“陰口ドッキリ”のずるいベクトルと連鎖

阿佐ヶ谷姉妹・江里子「負けられない戦いがここにある」

 この記事を執筆している7月第1週は、第26回参議院議員選挙の選挙戦のまっただなかである。そのため、政治に関する話題はどの報道番組も抑制気味だ。で、選挙が終わったとたんに選挙の話題で持ち切りになるのはいつものことである。そんな一時的な“解放区”も、朝が明けると終わってしまうのだが。

 そんななか、選挙の話題で持ち切りなプログラムもある。テレビ朝日系列で放送されている一連の深夜番組「バラバラ大作戦」。その時間帯繰り上げをかけたバラバラ大選挙が3日まで開催中だった。出演者が本編でバラバラ大選挙の件についてまったく触れていない番組もあるけれど、そういう番組でもテロップで視聴者に投票が呼びかけられたりしていた。

 一方、選挙活動でまるまる一本放送されたのが、30日の『阿佐ヶ谷ワイド!!』(テレビ朝日系)だ。

 阿佐ヶ谷姉妹の2人が阿佐ヶ谷の人たちが抱える問題を解決する同番組。以前から、渡辺江里子と木村美穂(以下、江里子さんと美穂さん)が街を歩くと、街を行く人たちが手を振ったり、2人が手を振り返して「いってらっしゃい」「お邪魔しております」「阿佐ヶ谷姉妹と申します」と言ったりといった光景が見られ、それがまるで選挙活動のようだった。実際、美穂さんが「選挙活動みたい」と言っていたりもする。

 今回、そんな『阿佐ヶ谷ワイド!!』が実際に“選挙活動”に乗り出した。2人は商店街をまわりお店の人にポスターを貼ってもらったり、投票を呼びかけたり。お店の人のなかには「すでに投票しました」みたいな人がいたりする。江里子さんは言う。

「学生のとき阿佐ヶ谷に住んでた方も、懐かしくて見てるってお話を聞いちゃったりなんかして。そういう方たちのためにも負けられない戦いがここにある」

 ロケの終着地点は区民センター。そこで開かれたのは“選挙”の決起大会である。会場には、これまで2人が番組で交流した人たちがそろっている。特別授業をした小学校の副校長や、Tシャツの在庫の処分をサポートしてあげた喫茶店の人、物件を探してあげた区民や、池を掃除してあげた区民など。彼ら・彼女らが番組と2人に応援コメントを寄せる様子は、さながら後援会の様相だ。地元の神社の神主も当選祈願の祝詞を奏上した。

 なお、会場には区役所の広報課の人も職員の立場で同席している。行政ともズブズブである。地元の商店街・行政・神社仏閣を抑える姉妹の選挙活動に死角はない。

 にしても、彼女たちの地元に愛されている感じはなんなんだろう。全国区のローカルタレントという不思議なポジション。『水曜日のダウンタウン』の“説教”の企画が「これだけ言われるのは言われるほうにも非があるのだろう」と思わせる作りになっていたとすると、阿佐ヶ谷姉妹の2人のまわりには「これだけ地元の人に慕われるのは慕われるだけの理由があるのだろう」と思わせてしまう磁場がある。見えるところで、見えないところを想像させてしまう感じ。そこにはもちろん、番組や2人自身による演出もあるのだろうけれど。

 知名度は申し分ない姉妹。かつ、地盤も強い。番組での活動だけではなく、長年の2人の地域密着の生活が実を結んでいるといえるだろうか。誰もが見えるメディアを通じたアピール活動と、見えにくいところでの地道などぶ板活動。どちらか片方に偏らない感じは、実際の選挙でも大切なポイントを抑えているのかもしれない。

「テレビ日記」先週の記事はこちら

飲用てれび(テレビウォッチャー)

関西在住のテレビウォッチャー。

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いんようてれび

最終更新:2023/02/27 19:06
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