箱根駅伝が「関東ローカル」じゃなくなる、全国化を後押しする日テレらの“大人の事情”
#日本テレビ #箱根駅伝
お正月恒例の箱根駅伝に大きなニュースが飛び込んできた。伝統のイベントは再来年に100回を迎えるが、関東学生陸上競技連盟は6月30日、100回大会の参加資格を変更し、全国の大学がエントリーできるようにすると発表。関西勢が箱根路を走る可能性が出てきた。
「毎年、大きな話題を集める箱根駅伝ですが、必ず寄せられるのが『なぜ出場校が関東の大学ばかりなのか?』という疑問。歴史を紐解けば、関西の大学が出場したこともありますが、箱根駅伝は関東の大学の大会で、関東ローカルの大会が“たまたま”全国放送されているのです。これまで記念大会は出場校を増やすのが恒例でしたが、100回大会という大きな節目で全国に門戸を開くことになりました」(週刊誌運動担当記者)
現時点では101回以降がどうなるかは未定だが、全国の駅伝ファンの期待は増すばかり。しかし、現実はそう甘くない。
「関係者の間では、関東以外の大学が予選を勝ち上がるのは難しいと見られています。長距離をやっている高校生の夢は箱根駅伝に出ることで、有力選手はのきなみ関東の大学に進学しており、他の地方の大学では勝負にならないから。それがよくわかるのが全日本大学駅伝の結果でしょう。昨年の大会では関東から出た15校が上位を占め、他の地方の大学とはかなりのタイム差がありました。
箱根駅伝は全日本大学駅伝よりも1人あたりの走行距離が長く、実力差はいっそう際立つことになります。もし関東以外の大学が箱根の予選会を通過出来たとしても、本番では大きく取り残され、繰り上げスタートでタスキがつながらない可能性は高い」(スポーツライター)
関東学生陸上競技連盟も、そうなることを見越してルールを変えたということか。ただ、将来的には全国の大学が競い合う形になる可能性は十分にある。
「大学では関東が圧倒的にレベルが高いですが、高校駅伝は西日本が強く、有力選手は箱根のためにわざわざ地元を離れています。もし、実家から通える大学で箱根駅伝に出られるのなら、地元に残る子も多いはず。愛知、兵庫、広島、熊本あたりがベストメンバーを組んで地元に残れば、全国レベルでも相当いい勝負が出来るでしょう」(前出・スポーツライター)
さらに全国化を後押しするのが、中継局の日本テレビと、関東陸連とともに大会を共催する読売新聞だ。
「毎年2日間にわたって駅伝を完全中継する日本テレビは、全国化を熱望しています。というのも、関東では視聴率が30%近くある箱根駅伝ですが、関西は約10ポイント低く、東西ギャップの解消はかねてよりの懸案。関西の大学が出場すれば視聴率も上がるでしょうから、日テレとしては全国大会になるのはウェルカムです。読売新聞としても、大会が全国を網羅した方が新聞は売れる。全国化は願ったり叶ったりです。
喜ぶのはメディアだけではありません。箱根駅伝は広告効果がとにかく絶大。関東の新興大学では、箱根駅伝出場で名を売った大学がいくつもありますし、常連校でも箱根に出ると出ないとでは受験者数が1割も変わると言われています。もし全国区の大会となれば、猛烈な勧誘で有力選手をかき集め、超強力な留学生も招へいして、なりふり構わず箱根を目指してくる大学が現れるでしょう。
関東の大学にとってはデメリットばかりですから、全国化は猛反対でしょうが、願っている人は多いということ。そのためにはまず、100回大会で関東以外の大学が実績を残すしかないでしょう」(キー局関係者)
100回大会の予選会は来年10月。有力な高校生を“一本釣り”できるかどうかが、勝負の分かれ目になりそうだ。
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