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日刊サイゾー トップ > インタビュー  > “休業”を経験する芸人2人の語り

ぼる塾・酒寄希望 × かが屋・加賀翔 芸人を“休業”した2人の語り「人生を休む練習は、一生役立つから」

児童館のお母さんから聞こえてきた声「育休を取って、申し訳ない」

ぼる塾・酒寄希望 × かが屋・加賀翔 芸人を休業した2人の語り「人生を休む練習は、一生役立つから」の画像9

酒寄:『アメトーーク!』(テレビ朝日系)とか、『有吉の壁』みたいに、自分がすっごく出たかった番組に3人が出ていて、最初はうれしかったんです。「田辺さんも、しんぼるの2人も、面白いのになんでテレビに出れないのかな?」ってずっと思ってたので、憧れの番組で活躍している3人がすごいなって。
 でも、だんだんと「あれ、私がいなくなってこんなに人気になったということは、私が田辺さんの足を引っ張ってたのかな」って思うようになってしまって。もちろん、「4人のぼる塾が楽しみ」って言ってくれる声もありましたけど、「育休中の人、戻ってこなくていいよ」っていうコメントもネットで見てしまって。

加賀:ひどい。

酒寄:「その通りかもな」って落ち込んでしまった時期がありました。でも、そういうときにも、田辺さんは変わらず毎日欠かさず連絡をくれていたんですよ。昨日だって、「これから仕事に戻るんだけど、その前に今日のみたらしちゃん(酒寄さんの息子さん)ある?」ってLINEしてきて(笑)。

加賀:「みたらしちゃんある?」(笑)。本当に一緒に育ててるみたいですよね。そういう関係って本当にすごいです。

酒寄:毎日のように息子の写真を催促されて送っているので、私の父母よりも息子の成長に詳しいです(笑)。何が彼女をそうさせているのか私にもわからないんですけど、とても支えられています。

 あとは、ちょうどコロナで普及したZoomにもすごく助けられました。はるちゃんとあんりちゃんも、仕事のスキマ時間に「ネタ作りしましょう」って声をかけてくれたりとか、直接は会えなくてもとにかくコミュニケーションを大事にしてくれて。

──ぼる塾の3人が、酒寄さんを積極的に巻き込んでくれたんですね。

酒寄:でも最初は、向こうは向こうで、育児をしている私にどこまで距離を詰めていいのか、葛藤していたと思うんです。育児のことはもちろん、いきなりガーッて売れたこともあって、仕事についてもどこまで相談していいのかわからなかったみたいで。私としても、3人に仕事のことをどこまで聞いてもいいのかなという思いはありました。

 一度、3人が気を使って、私に来た仕事を「酒寄さんがやりやすいように」とアレンジして受けてくれたことがあって。そのときは、「私がいないところで勝手に私のこと決めないでよ!」って言ってしまったことも……。いま思うと、大人げないんですけどね。

加賀:でも、どっちの気持ちも理解できますね。

酒寄:そこで「一回ちゃんと話し合おう」ってことになって、お互いに変に気を使いすぎていたところがあったね、ってなったんです。特にしんぼるの2人は私と田辺さんより後輩なので、余計に気を使ってくれてたところもあって……そのときも、田辺さんが「私は酒寄さんの相方でずっとやってきたんだから、しっかりしなきゃね」って、間を取り持ってくれました。

加賀:「放っておかないぞ」っていう、田辺さん持ち前のギャルスピリットですよね。アツいなー!

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酒寄:やっぱり、育児中ってすごく孤独になるというか、ずっと子どもと向き合っていると、社会から置いてけぼりになったような気がしてくるんですよね。児童館とかで子どもを遊ばせているお母さんたちの話を聞くんですが、「育休を取って、会社にも迷惑かけてしまって、申し訳ない気持ちでいっぱい」みたいなことをよく言っていて。子どもを育てている時間って、幸せなはずなんだけど、どこかで負い目を感じてしまっているっていうか。

加賀:わかる気がします。「休んでるんだったら申し訳ないと思わないとダメだ」と思わせるような社会のプレッシャーもあったりしますよね。

 でも、産休や育休はもちろん、なんらかの理由で仕事を休むのって、誰にでも起こり得ることじゃないですか。

 僕も休業中は、なんだか周りに取り残されていくような気持ちがありました。何より、急に「休め」って言われても何をしていいかわからなくて。自分としては、「お笑いがないと生きていけない」って思ってるのに、ドクターストップがかかってる。むしろそこがめちゃくちゃしんどかったんです。

 だから酒寄さんのnoteを読んで、葛藤もありつつ休業中の日々をポジティブに綴っているのがすごく意味のあることだなって。「酒寄さんにはこの3人がついてるんだ、よかったー!」っていう安心はもちろん、「こういう関係性もあるんだ」とか、「自分にとっての田辺さんは誰だろう?」って考えるきっかけになります。

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