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日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > バカリズム、川島、大悟の解説
アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~

千鳥・大悟、麒麟・川島、バカリズムの解説が盛り上げた「IPPON女子グランプリ」

視聴者に見てもらう絶妙ライン

 今回の「まっちゃんねる」では「女子でIPPONグランプリの大喜利大会をやったらどうなるのか?」という“実験・検証”として見せることで、お笑い的な部分のハードルを下げ、「滝沢カレンが大喜利をやったらどんな感じになるんだろう?」「王林ちゃんって大喜利できるのかな?」といった興味で視聴動機を促しているということです。

 番組作りをするうえでの「ハードル問題」のテクニック論は非常に奥深く、私レベルでは明確な答えは出せていません。なぜならハードルは下げればいいというわけではないからです。時にハードルは上げなければそのコンテンツを見てもらうことが出来ませんから。「この番組、面白いかどうかは分からないけど見てください」「人によっては面白いと思います」と宣伝しても多くの人には見てもらえません。

【視聴者にチャンネルを合わせてもらう+いざ番組を見て満足する】という2つを兼ね備えたハードルの上げ下げをしなければいけません。映画の予告編がめちゃくちゃ面白そうだったので本編を見てみたらがっかりしたという経験はみなさんあると思いますが【誘導】と【満足度】の確保が出来なければいけない。

 そのために「面白い」以外の言葉や表現を使って、どう視聴者の興味を引っ張るかということです。テレビに関わらずエンタメに関わる人は日々この問題と向き合っています(人によっては「そんなもんハードルを上げてもそれを超えるだけの面白いモノ作ればいいんだよ」という、パワフルな持論をお持ちのクリエイターもいると思いますが)。

 いち視聴者として番組を見た私の感想としては、この「IPPON女子グランプリ」は「女子で大喜利大会をやったらどうなるのか?」という興味で引っ張られて番組を視聴し、そのハードルを見事に超えて面白かったと思いました。ネットの評判を見ても、この番組は成功だったと言えるのではないでしょうか。

 今回は「ハードル問題」について述べましたが、普段の「IPPONグランプリ」でも行われているモニタリングルームでの解説的・副音声的な見せ方も非常に面白く感じました。通常の「IPPONグランプリ」では松本人志さんが1人で行っているのですが、今回はバカリズムさん、麒麟の川島さん、千鳥の大悟さんの3人が見届け人としてモニタリングしながらトークを展開。そこでのトークで大喜利の奥深さを分かりやすく語ってくれていて、とても興味深かった。

「今のは答えは面白いけど読み方が違ったかも」「キャラに合ってなかったかも」「このお題は情報量が少ない方がいいかも」「この流れじゃなければウケたかも」といった具合に、大喜利というモノがただ面白い答えを出せばウケるというものではない、神聖なる競技であることを痛感させられました。

 次はどんなカバー企画をやってくれるのか楽しみにしています。それでは今日はこのへんで。

放送作家。松本人志・高須光聖がパーソナリティを務めた東京FMのラジオ「放送室」で行われたオーディションをきっかけに放送作家の高須光聖に師事。以降、テレビやYouTubeでさまざまな番組を担当。主な歴代担当番組は『くりぃむナントカ』『シルシルミシル』『めちゃ×2イケてるッ‼』『ガキの使い 笑ってはいけないシリーズ』『得する人損する人』『激レアさんを連れてきた。』『新しい波24』『1周回って知らない話』『ゴン中山&ザキヤマのキリトルTV』『GET SPORTS』『ヨロシクご検討ください』『青春高校3年C組』『今田×東野のカリギュラ』など。

Twitter:@kikakusouko

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ふかだけんさく

最終更新:2023/02/28 06:40
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