山下智久Netflix主演ドラマ制作中止のなぜ、ジャニーズも配信で攻勢をかける？

　NHKで放送した春ドラマ『正直不動産』で主演を務めた山下智久。最新のドラマ満足度調査（6月7日～6月13日放送対象）で1位を獲得し、続編を希望する声が続出するなど、ジャニーズ事務所を退所してからも俳優業が順調だ。

　山下は『正直不動産』以外にも、HBO Max（米国の配信サービス）とWOWOWが共同で制作したオール日本ロケドラマ『TOKYO VICE』や、6月24日からNetflixで配信スタートの映画『マン・フロム・トロント』にも出演するなど、ジャニーズ時代よりも活発な動きを見せている。

「山下は演技力もありますし、何よりもネームバリューがバツグン。ただ、“辞めジャニ”ですからジャニーズタレントとの共演はNGで、民放ドラマで使いづらい。そこで、NHKや映画、配信サービスなどが、民放にスケジュールを押さえられることもなく山下をフルで起用しているんです。山下の健在ぶりを見て、ジャニーズ事務所に気を使ってこれまで起用していなかった民放テレビ局も、ジャニーズ事務所と調整しながらにはなりますが、山下主演の連ドラを作りたがっています。ジャニーズ時代よりもギャラも下がったことも大きいでしょうね」（民放関係者）

　まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだが、一方で、山下の主演が発表されていたNetflix制作映画『恋に落ちた家』が突然制作をストップすると発表し、物議を醸している。

「韓国で大ヒットした映画『建築学概論』（『Architecture 101』）の日本リメイク版だったのですが、Netflixの制作中止のコメントは＜オリジナル作品に敬意を表することを優先し＞というものだった。山下にとって6年ぶりのラブストーリー主演ということもありますが、あまりの説明の少なさに、SNSなどで怒りをあらわにするファンもいます」（スポーツ紙記者）

『恋に落ちた家』制作中止の真相は薮の中だが、テレビ業界ではこんな噂もあるようだ。

「山下はNetflixで配信予定のドラマ『今際の国のアリス』シーズン2に出演することも決まっている。Netflixでさまざまな仕事が舞い込んでいる山下ですが、Netflixでは全世界的に会員数が減り始め、アメリカでは従業員が300人も解雇される事態に。そんな中で、各国でオリジナルのコンテンツを作り、会員数を上げることが至上命題になっています。
　日本でも、ジャニーズタレントを使ったドラマや映画、ドキュメンタリー企画を予定しているようですが、あまりにも“辞めジャニ”の山下に仕事が集中していることで、ジャニーズ事務所が機嫌を損ねているのではないかという話も……。『恋に落ちた家』は昨年11月に制作発表をし、大々的に情報を解禁していた上での突然の中止だったので、さまざまな憶測が飛び交っています」（民放関係者）

　当のジャニーズ事務所も、全社を上げてNetflixなどのネット配信サービスに売り込みを加速させているようだ。

「6月15日、BTSがグループとしての活動を休止して、当面はソロで売り出すことになりました。これを受け、所属プロダクションのHYBEの株価は一時27%下落。世界的なアーティストですから、日本でも“BTSショック”が起きています。
　一方、嵐以降の国民的人気を獲得するグループを作れなかったジャニーズは、これをチャンスとばかりにSixTONESやSnow Manなどを一気に売り出そうとしているようです。その中で、もともとジャニーズコンテンツをほしがっていたNetflixとの関係を深め、今後はドキュメンタリーを含めてさまざまなコンテンツ制作していく目算だとか」（民放関係者）

　そこには、テレビの衰退も関係しているという。

「若年層のテレビ離れが進み、テレビを見ている総数を割り出す”総個人視聴率”が史上最低を記録するなど、名実ともに衰退メディアとなった。ジャニーズ事務所としても、テレビと共倒れするわけにはいかず、Netflixをはじめとしたネット配信に力を入れていくつもりでしょう。Netflixとしても、固定ファンの多いジャニーズのコンテンツを定期的に配信できれば会員が増えるでしょうし、win-winな関係でしょうね」（民放関係者）

　したたかな戦略を取るジャニーズ事務所は安泰だろうが、山下智久の今後の快進撃にも期待したい。

小林真一（フリーライター）

テレビ局勤務を経て、フリーライターに。過去の仕事から、ジャニーズやアイドルの裏側に精通している。

こばやししんいち