ジャンポケ斎藤の“いじめについて語る”活動と芸人
#檜山豊
いじめの事実は家族にも話しづらい…
最近、僕と同じようにいじめにあっていたという芸人の記事が大きな反響を呼んでいる。その芸人とは「ジャングルポケット」の斉藤慎二さんだ。
6月19日にSBS(静岡放送)が「『いじめた人は一瞬で忘れるが僕は一生恨んでいる』”ジャンポケ”斉藤慎二さんが壮絶な体験を語り続ける理由」と題した記事を配信した。
【当該記事】
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1078853.html
内容は斉藤さんが10日に常葉大付属橘中学校・高校で話した公演を紹介したというもの。
斉藤さんは背が小さいというだけでいじめの的になってしまった。「チビだ」「死ね」「生きてる価値が無い」という子供特有の心無い残酷な言葉を言われるようになり、ひどいときには後ろの生徒から彫刻刀で背中を切られて血が止まらなくなったという。
斉藤さんの母親は教師をしており、家でも忙しそうにしている姿を見て「負担をかけるわけにはいかない」と思い、いじめられていることを母親に内緒にしていたそうだ。
この気持ちはすごくわかる。僕の両親も共働き、なおかつ僕には7歳年下の妹おり、母親はその世話もしなければいけないのでいつも忙しそうにしていた為、僕もいじめられていることは隠していた。それにプラスして「いじめられていることは恥ずかしい」という思いがあり、余計に言えなかった。
話を戻そう。斉藤さんはある児童が誕生会をしたときに、クラスで自分だけが呼ばれなかった。それを知り担任の先生に相談したところ「それは斉藤くんに理由があるのかもしれないね。だからひと言ずつ斉藤くんの悪いところを言っていこう」と提案し、児童30人が一列になり、次々と悪口を言われた。半分以上の生徒は「死ね」と言い、先生はそれを止めることも怒ることもせず、ぼーっと見ていて、時には笑っていたそうだ。
一体この先生は何をしたかったのだろうか。味方もなくたった一人で罵詈雑言を必死に耐えている子供の姿を想像するだけで、怒りがこみ上げる。先生が言うようにもしかしたら、斉藤さんにも何かしらいじめられる理由があったのかもしれない。例えばうまくコミュニケーションがとれない子供ならではの、嘘やワガママに見える言動のせいで。
ただ、はっきりしているのは100%いじめた側が悪い! いくら理由があるからと言っていじめていいなんてことはありえないのだ! いじめた側は何をされても文句を言えないと思っておいた方が良い。自覚があろうがなかろうがそれくらいのことをしているのだ。
斉藤さんは当時、「死にたい」と思い父親のベルトで首をくくり「これで終わりだ。やっと楽になれる」と首を吊ったという。もがき苦しんでいる音にお兄さんが気づき助けてくれた。もしお兄さんがいなければ……。それくらい、いじめは人の命を傷つけるのだ。
斉藤さんは元々お笑い芸人を目指したわけではなかった。中学の時に芝居を見に行く機会がありそこで感銘を受け「自分に価値はないけど、誰かの役になりきったら、初めて人間としての価値が生まれるんじゃないか」と思い、俳優という夢を抱き高校へ進学した。
「自分の生き方を変えなければいけない。人として認められたい。人と対等に話したい。笑った学生生活を初めて体験したい」小学校3年生から中学生までいじめられていたが、夢を持つこと、進学というタイミング、そして彼の決意が新しい自分に変身させ、いじめという呪縛から解放してくれたのだろう。
テレビに出演する機会が多くなったある時、番組で初めていじめについて語った。すると当時斉藤さんをいじめていた元生徒から電話がかかってきた。
「いじめのやつ記事で見たんだけど、いじめた側に俺入ってる?」という確認の電話だったそうだ。
なんとその相手はいじめの中心人物。「家族ができたから名前は出さないでくれ」と。謝罪は一切無かった。
斉藤さんは言う
「もし、人を傷つけている人がいるなら絶対にやめてほしい。その人は一瞬で忘れるかもしれないけど、いじめられてる側は一生忘れない。僕は一生恨んでいます。(傷つけている側は)自分がやったことを後悔して、これから自分は変わっていくんだ、これからは人を傷つけずに生きていくんだ、という気持ちを持ってくれたらすごくうれしい」と。
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