『トイ・ストーリー4』日本で大不評だった理由と意外なラスト
#金曜ロードショー #しばりやトーマス #金ロー
むくわれないウッディ(※次ページネタバレあり)
『4』はごく一部(あくまで、「ごく一部で」だが)で低い評価を受けている。その理由は結構悲惨で、残酷な物語だからかもしれない。
ボニーはおもちゃで遊んでいるけど、ウッディにだけは飽きていて、他のおもちゃと遊ぶときもウッディだけはクローゼットにしまい込む。前作のラストで大学寮にウッディを連れて行こうとしたアンディに、物凄く恨めしそうな顔をして奪い取った(ように見える)のにこの扱い、ひどくない?
幼稚園になじめるようになったのはウッディのおかげなのに、ボニーの気持ちはフォーキーにだけ向けられてるし、今回のウッディは報われない努力を一生懸命していて、観ているのが辛い。
残酷な目に遭うのはウッディだけではない。彼のボイスボックスを奪おうとするギャビーは今回の悪役ポジションなんだが「綺麗な声さえ出れば女の子にもらってもらえる」と信じている。「おもちゃは子供に遊んでもらってこそのもの」と考えているウッディは持主が見つからず、ショップに置かれているだけのギャビーに共感し、自分のボイスボックスを差し出す決意をする。
昔みたいに綺麗な声で紐をひっぱればおしゃべりできるようになったギャビーだが、ようやくギャビーを手にした女の子・ハーモニーは「いらない!」とギャビーを投げ捨てちゃう! えー? もらってくれないの?これまでの話はなんだったんだ!
子供から大人になる過程をたどりながらも、おもちゃへの愛を忘れなかった前作までの主人公アンディに比べて、今回のボニーやハーモニーのおもちゃに対する扱いはぞんざいすぎて観客が拒否反応を起こすのもわかる。
が、それらの不評を乗り越えてたどり着くラストシーンは前作までのシリーズを凌駕する感動的な場面で、ウッディがおもちゃとしての自立するクライマックスになっており、これまで「おもちゃは子供に尽くすもの」と考えていたウッディが自由意志を持った存在として生きていくことを選択するという、予想だにしなかった展開には驚かされた。
このラストも日本の観客には不評というか、理解できなかったようだが本国アメリカでは正反対の評価を受けている。日米で評価が変わるポイントは、おもちゃの人形であっても自立や成長することを描いているからだろう。
以前、アメリカの漫画メディアに詳しい知人が「アメリカで受けがいいジャンプマンガはドラゴンボールやナルトで、ワンピースはその二つに比べるとイマイチ。その理由はドラゴンボール、ナルトにはキャラクター同士が結婚して子供や孫を生んだりして成長するけど、ワンピースには恋愛要素がほとんどないから受けが悪いよ」と言っていた。
そういえば何十年も連載が続いている『X-MEN』もキャラクター同士がカップルになって子供が生まれたり、二代目三代目が出てきたりしている。登場人物の自立や成長を描くのは当然と考えるアメリカと、いつまでも同じことを繰り返している方が受ける日本との違いが『トイ・ストーリー4』の評価に如実に現れてしまったのではないか。もし『トイ・ストーリー』が日本で作られていたら『4』のようなラストは絶対ありえないだろう。
とはいえ『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』のような「永遠のマンネリ」も国産漫画、アニメの素晴らしさのひとつであり、そういう評価もあるってことで、ネットの意見に惑わされず『トイ・ストーリー4』をお楽しみください。
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