吉本、ワタナベエンタ、ホリプロ、マセキ、松竹…お笑い事務所の“ギャラ事情”今昔
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「この世の地獄みたい」な待遇も今は改善?
「ウチの事務所のお金事情」というテーマで、マセキ代表の三四郎は「文句言ってる人がまったくいない」と事務所のクリーンさを証言した。
紆余曲折がある。かつて、マセキの芸人に対する報酬は“お小遣い制”だった。欲しい物や生活に必要な物があれば、社長に言ってお金をもらうシステムだったのだ。よって、自分が本当に稼いだギャランティーはいくらかわからないし、給与明細自体もなかった。そのどんぶり勘定的なシステムを疑問に思った出川が島田紳助の助言をもとに制度改善を訴え、現状に至ったのは有名な話だ。
松竹のギャラ事情に関しては、ヒコロヒーがホワイトを訴える。
「一昔前は『1円もくれない』でお馴染みやったかもしれないんですけど、今はわりとちょっといいです。いろいろなことが起きて、すごい良くなりました」(ヒコロヒー)
「いろいろなこと」とは、はっきりと吉本の闇営業問題のことを指している。5月15日配信「千原ジュニアYouTube」に出演したみなみかわは、「(ギャラの配分は)良くなったんですよ。それは、吉本さんのおかげなんです。闇営業問題がきっかけです」「昔は、マジで(取り分が)9.5、0.5やったんですよ。0.5が我々で。でも、さらば(さらば青春の光)がドーンとやめ、闇営業問題があって『このまま行ったらヤバイことになる』となって、今、松竹の割合は良いんです」と発言している。
みなみかわが言及したさらば青春の光の退所も、看過できない。さらばだけでない。今回、ワタナベエンターテインメント代表として出演したAマッソ、ホリプロコム代表として出演したきつねも松竹脱藩組だ。日本エレキテル連合、さらば青春の光、Aマッソ、お見送り芸人しんいちなど、松竹を抜けた芸人は枚挙にいとまがなく、みんな、松竹から抜けて売れた芸人ばかりである。
松本 「(松竹で)何が嫌やったとかある?」
加納 「嫌なとこもないけど良いとこもなかった」
ヒコ 「いいかげんにしろ、あるわ(笑)」
浜田 「きつね、松竹のときはどうやったの?」
大津 「当時は、この世の地獄みたいな事務所でしたね(笑)」
ヒコ 「いいかげんにしろ。こういう脱走兵みたいなのが増えて、おかげでちょっと会社が変わって」
本来なら、ワタナベの代表は田中卓志(アンガールズ)、四千頭身、ハナコ辺りだったと思うし、ホリプロコムもスピードワゴンかたんぽぽが選ばれそうなものだが、番組の構成上、わざと元松竹ばかりを集めたのだろう。なんなら、いつか『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「脱竹芸人」を企画してほしいと願っている。
そして、ギャラ事情といえば吉本だ。相席スタートの山崎ケイが解説した。
山崎 「他の事務所と一番違うのは、ライブでもお金がもらえるっていうこと。(他の事務所の)みなさんは、ギャラがないらしいんですよね」
小宮 「単独ライブとかでももらえないですから。だから、グッズを売ってなんとか」
吉本芸人はよく「漫才1回のステージに立っても500円しかもらえない」という自虐で事務所の劣悪さをアピールしていたが、他事務所はそれどころではない。ステージに立つため、逆に芸人がお金を払うケースが多いのだ。吉本のような自前の劇場がなく、箱を借りるための費用がかさむからである。物販の分しかギャラが発生しないなんて、まるで地下アイドルだ。
吉本に関しては、闇営業問題以降はステージギャラの額も上がり、最低でも数千円は手にできるという話。プラス・マイナスや見取り図、和牛は年間に500ステージ以上こなしているし、プラス・マイナスとゆにばーすは舞台だけで月収100万超えと聞く。やはり、自前の劇場を持っている事務所は強い。これが、吉本が漫才に強い理由なのだろう。
相席スタートの山添寛が訴えたのは、交通費についてだ。
「タクシー代は、ある程度のランクにいかないと出ないんですよ。なので、ずっと僕らは電車移動で、タクシーに乗らないできましたし。ここで難しいのは、テレビに出してもらったとき、スタッフさんから『タクシー呼びましょうか?』と言われたときです。僕らとしてはタクシーチケットもらえるんやったら乗りたいんですけど、自腹やったら乗りたないんですよ!」(山添)
そういう意味で恵まれているのはマセキだ。
「マセキは(若手に)オーディションへ積極的に行ってほしいんで、『お金がないんで行けません』とならないよう、売れてない人は逆に交通費が出るんです」(小宮)
いわゆる、「小払い」というやつだ。みなみかわは「会社から出た新幹線チケットを夜行バスに変え、マネージャーが差額をピンハネしていた」と明かしていたが、そういう話を聞くとマセキの好調も納得である。
マセキ好待遇の噂は若手間で広まり、「マセキがいい」と界隈で評判になったらしい。しかし、一方で厳しい面もある。遅刻を1分すると、ペナルティで事務所ライブを1カ月間お手伝いしないといけないそうだ。上岡龍太郎は遅刻した弟子に「芸人なら、遅刻した理由を面白くせえ」と教育していたものだが、その頃を思うと隔世の感だ。例えば、異常な遅刻癖を持つ蛙亭・イワクラだとマセキでは務まらなさそうである。
「(遅刻を)ドンドン繰り越して繰り越して、1番多いので今、スタンダップコーギーの奥村(うどん)って奴が2041年の11月まで(お手伝いで)全部埋まってるんです」(相田)
リボ払いのようにお手伝いが繰り越されている奥村。まるで、アメリカの刑務所の懲役のよう。さらに、マセキは買い食いも禁止らしい。
「歩きながら食べてたりすると礼儀的に良くないから。吉本さんと一線を画すために、礼儀はちゃんとしなきゃいけないっていう。チーフのマネージャーが『あれ。お前、買い食いしてない? はい、遅刻と一緒の1カ月のペナルティ!』って」(小宮)
中学生じゃないんだから。まるで、校則だ。社会教育を兼ねているのかもしれないし、8股騒動が世を騒がした狩野英孝の件も教訓になったのかもしれない。
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