あばれヌンチャクを同僚芸人たちがあらてめて絶賛「わかりやすさと毒」
#お笑い #檜山豊
女装綺麗芸人のパイオニア桜塚やっくん
やっくんはあばれヌンチャク時代に培った、売れる為ならいらないプライドを捨てるという姿勢はピンになっても変わらなかった。「エンタの神様」で披露されたスケバンのネタは、内容以外にもいかにビジュアルを綺麗に見せられるかという部分にもこだわっていた。これは憶測だが、そこにこだわることにより、女子中高生の人気を得るのが早いと考えたのだろう。現在、ビジュアルが良いとされる芸人は、女装するときにいかに綺麗に見せるかを当たり前のようにこだわっているが、当時はほとんどの芸人が綺麗さになんてこだわってはいなかった。むしろその逆でワーキャー言われたいから綺麗に見せようとするなんて恥ずかしいという考えが多かった気がする。
しかしやっくんはそんな偏った考えの芸人を尻目に、あっと言う間に女子中学生の支持を得てお茶の間で大人気になり、一世を風靡した。やっくんの作戦勝ちである。今の女装綺麗芸人が多く存在するのは桜塚やっくんのおかげであり、女装綺麗芸人のパイオニアは桜塚やっくんで間違いない。
そんなやっくんとは芸人時代に何度かあったが、竹内さんとはほとんど会うことは無かった。
僕が芸人を辞めることにより、2人との接点は全くなくなった。
芸人をやめて数年経ったある日、僕が細々と不定期でやっているツイキャスになんと、竹内さんが参加してきたのだ。あるときはコメントで、そしてあるときは音声で賑わしてくれたのだ。久々に話した竹内さんは芸人時代と何も変わらず、テンションも頭の回転も、ボケもツッコミも面白く、終始腹を抱えて笑ったのを覚えている。それが実に数カ月前の出来事。まさかそれから少しして竹内さんがなくなるとは予想だにしなかった。
桜塚やっくんも竹内さんも芸歴的には後輩だが、年齢は1976年生まれの同い年。
同い年の人間が人生の幕を閉じるというのは、何とも言えない喪失感が襲い掛かってくる。しかも二人とも突然の死。まだやりたいこともあっただろう。かなえたい夢もあっただろう。誰にも何の言葉も残せずにこの世を去った。もうそれを知るすべはない。
ツイキャスで竹内さんが僕に言った最後の言葉は
「ぜひ時間があったら飲みに行きましょう」
社交辞令で、本当に思っていたかどうかわからないこの言葉が、最後になってしまった。
いつになるかわからないが、僕があの世へ行った際は
「竹内、お前あれ社交辞令だったろ?」
と聞いてみたいと思う。
ご冥福をお祈り申し上げます。
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