RISEとの「世紀の一戦」でK-1トップファイターが敗退した理由とその背景
#K-1 #武尊
キックボクシング無敗でこの一戦を最後にボクシング転向を表明している那須川天心と、K-1史上初の3階級制覇を達成した王者・武尊の世紀の一戦がメインカードの格闘技イベント『THE MATCH 2022』が19日、東京ドームで開催された。
同イベントは事実上、天心が主戦場のキックボクシング団体「RISE」と武尊が主戦場の「K-1」の対抗戦。天心vs武尊を筆頭にドリームマッチが勢ぞろいしたが、収益もとんでもないことになっていたようだ。
K-1創始者で正道会館館長の石井和義氏は同日夜10時過ぎに、「チケット売り上げ20億、 ペイパービュー(PPV)50万件25億 スポンサー5億、計50億」とツイートしている。
「石井館長は本来は機密情報である収益などについてツイートしたが、日付が変わった後に『僕の予想したAbemaのPPV 50万件』とツイートしていたため、収益なども含め、先のツイートはあくまで“石井館長の見立て”だと見られる。もっとも、第12試合終了時、入場者は5万6399人であることが運営から発表され、会場では大きなどよめきが起こった。会場のチケット売り上げに関しても、生放送中に『ゲート収入だけで20億円』との発表があり、売り上げ絶好調だったのは間違いないようだ。フジテレビが放送中止を発表したことが大きな話題となり、ABEMAのPPVを買うしか視聴方法がなかったことで、購買意欲があおられたのだろう」(格闘技業界関係者)
事前にABEMAで勝敗予想を募集した結果、天心3:武尊7と、武尊が勝つという見方が大勢だったようだが、結果は天心が1ラウンド終盤にダウンを奪うなど、判定5-0で完勝。試合後の会見では天心が勝因となった緻密な戦略を明かしていたが、もともと両者を知る記者などの間では天心の勝利を予想する声が多かったという。
「これまで武尊は41戦でわずか1敗。このところは、ダウンすら喫していないほどの勢いでしたが、天心のように丁寧なボクシングテクニックに加えてケタ違いのスピードを持ち、なおかつ武尊と反対のサウスポーの相手とは、あまり練習をしたことがなかったはず。思っていたよりもやりずらかったんでしょうね。ダウンを取られてすぐ立ち上がったのはさすがでしたが、焦ったのか2ラウンドでは頭から飛び込んでバッティングを浴びせ、禁止行為の投げまで繰り出すことに。最終の3ラウンド、これまでの相手なら付き合ってくれた打ち合いの挑発にも、天心は乗らなかった。あれでは勝機がない」(格闘技担当記者)
全16試合中、RISE側が9勝、K-1側は7勝で、総合でもRISE側の勝利となった。これまで立ち技では「最強」をフレーズに掲げていたK-1の日本人トップファイターたちが続々と敗退を重ねてしまったわけだが、それにも理由があったようだ。
「イベントを前にRISE側の選手たちは合宿を行い、K-1側の選手の弱点を研究するなど一致団結していたが、K-1側にはそれがなかった。さらにK-1の興行では、常にKO決着とガンガン打ち合うことが求められ、普段のスパーリングからガチでの打ち合い。あれではパンチドランカーになる選手が増えるだけ。対して、RISEに参戦する各ジムの選手は、天心に倣ってしっかりボクシングの練習や相手の研究も欠かさない。その差がハッキリ出てしまったのが今回の大一番」(同)
いわば、大将格の武尊が敗れてしまったK-1だが、今後の興行でどう巻き返すのかが注目される。
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