『ナワリヌイ』毒殺未遂事件を経てもユーモアを忘れないプーチン政権との戦い
#ヒナタカ #ナワリヌイ
悪人が勝利する条件
ダニエル監督は、この映画から受け取ってもらいたいことについて「人々が目をそらし、注意を払わなくなってしまったら、悪人が勝利するのだということを覚えておいてもらいたい」とも告げている。
ご存知の通り、連日ロシアによるウクライナ侵攻の惨状が、世界中で報じられる。戦争反対の立場を表明したロシアの国内メディアは次々と活動停止に追い込まれており、果ては反戦を訴えた小学生がロシア警察に拘束されるというニュースもあった。
その惨状はもちろん、ナワリヌイが現時点で置かれている状況も思うと、どうしても暗い気持ちになってしまうが、だからこそ劇中の最後にナワリヌイが言う“信念”を知ってほしい。これまで彼がユーモアを持ちながら、命の危険があっても戦い続けていた事実だけでなく、政治家ではない我々一般人でも「できること」があると、強く思わせてくれるからだ。それは、ロシアによるウクライナ侵攻に関わらず、世界中のあらゆる理不尽に対抗するための手段でもあるだろう。
公開中の『FLEE フリー』も要チェック
『ナワリヌイ』の日本公開の1週間前、6月10日より『FLEE フリー』も上映されている。本作は国際長編映画賞のみならず、長編ドキュメンタリー映画賞と長編アニメーション映画賞にもノミネートされた、異例の作品だ。
アニメで描かれているのは「当事者の安全を守る」目的のため。難民としてだけではなく、ゲイをカミングアウトできない苦悩、そしてショッキングで過酷な日々が胸に迫る形で描かれている。今のロシアによるウクライナ侵攻で、いったいどれだけの人が同じような状況にいるのだろうかと、改めてその深刻さを想起させる内容にもなっていた。その意義でも『ナワリヌイ』と合わせて観てみたらいかがだろうか。
製作:CNN Films、HBO Max
制作協力:Fishbowl Films、RaeFilm Studios、Cottage M
プロデューサー:オデッサ・レイ、ダイアン・ベッカー『BELUSHI ベルーシ』、メラニー・ミラー、シェーン・ボリス『ブラジル -消えゆく民主主義-』
製作総指揮:エイミー・エンテリス『アポロ11 完全版』、コートニー・セクストン『アポロ11 完全版』、マリア・ペヴチク
監督:ダニエル・ロアー『ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった』
音楽:マリウス・デ・ヴリーズ『コーダ あいのうた』『ラ・ラ・ランド』
出演:アレクセイ・ナワリヌイ、ユリヤ・ナワリヌイ、マリア・ペヴチク、クリスト・グロゼフ、レオニード・ボルコフほか
2022年/アメリカ/ロシア語、英語/98分/原題:NAVALNY/日本語字幕:額賀深雪/配給:トランスフォーマー
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