『トップガン』は本当に名作だったのか? 珠玉のトム・クルーズ出演作品で検証
#U-NEXT #しばりやトーマス
日米両国でぶっちぎりヒット中の『トップガン マーヴェリック』(以下『マーヴェリック』)は36年前に世界中で大ヒットし、俳優トム・クルーズを一躍スターに押し上げた出世作『トップガン』の続編だ。
今回は『トップガン』から『マーヴェリック』までの36年間を含めたトム・クルーズの浮き沈みの激しい役者人生と、そのヒットの理由について探ってみたい。
80年代初期のヤングアダルト小説の映画化や青春映画でキャリアをスタートさせたトムは、主演作『卒業白書』(83)で人気を博し、86年の『トップガン』で甘いマスクとフレッシュさが売りのスターとして認知されていく。
この後は大物スターとの共演作や話題作への出演と順調に仕事をこなしていくのだが、作品の出来には大きな差があった。ダスティン・ホフマンと共演した『レインマン』(88)やオリバー・ストーンが監督しアカデミー賞主演男優賞にトムがノミネートした『7月4日に生まれて』(89)など評価の高い作品もあるが、ポール・ニューマンの添え物と化していた『ハスラー2』(86)、内容が下品すぎてラジー賞に選ばれた『カクテル』(88)、『トップガン』の焼き直し『デイズ・オブ・サンダー』(90)の頃にはすっかり「昔はスターだったのに」という扱いにまで落ちぶれていた。
「カッコいいだけの兄ちゃん」からの卒業を図ろうとするトムにとって転機となった作品は94年の『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』。アン・ライスのゴシックホラー小説の映画化で、永遠の時を生きる吸血鬼レスタト役をトムが演じ、彼が吸血鬼に変えることで共に永遠の時を過ごそうとする青年ルイ役をブラッド・ピット。二人の関係がボーイズラブのように描かれる耽美的な物語で萩尾望都の『ポーの一族』風でもある。
それなので原作者のライスは主人公レスタトに相当な思い入れがあり、配役を聞いた途端「私のレスタトがトム・クルーズなんてありえない」とクレームをつけ、その意見に賛同する読者や反発するトム・クルーズファンをも巻き込んで大論争に。ライスが激しいクレームをつけたのも当時のトムが、スターとしては落ち目の傾向にあったからだと思う……。
騒動を聞いたトムはどうしたか?「作品を見てから判断して欲しい」といい、吸血鬼に見えるように大幅の減量に挑み、完全に役作りをして撮影に臨む。
そして公開された映画を観たライスは掌を返してトムを絶賛し、業界紙に謝罪の広告を出したのだった。映画は大成功を収めアカデミー賞にもノミネート。ここからトム・クルーズの二度目のブレイクがはじまる。
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