「朝倉未来のYouTubeメンバー脱退」アンチは企画の“必要悪”
#深田憲作 #企画倉庫 #アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~
放送作家の深田憲作です。
「企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。
今回のテーマは「朝倉未来のYouTubeのメンバー脱退」について書かせていただきます。登録者数240万人を超える、格闘家・朝倉未来さんのYouTubeチャンネル。その運営メンバーの1人である岡さんという方がチームから脱退するという動画が、6月8日に公開されました。岡さんは朝倉未来さんの地元の頃からの友達で、動画の出演者でもありました。朝倉未来さんの武勇伝として最も有名な「50対2の喧嘩」の時に逃げ出したという件でいじられていた方です。
脱退の理由を簡単に説明すると「視聴者からのアンチコメントによる精神の疲弊・憔悴」。精神科で「適応障害」の診断を受けたとのことです。私は朝倉未来さんのYouTubeチャンネルを頻繁に見ているわけではないので詳しくは分からないのですが、視聴者から「チャンネルのお荷物」「朝倉未来の金魚のフン」といったコメントや、個人のSNSを通してのダイレクトメッセージが毎日のように届くことで、精神が疲弊していったようです。
おそらく、他のネット記事ではこの件についてアンチコメントや誹謗中傷に対する見解が綴られていることと思いますが、私はこの件を受けて「企画」「コンテンツ作り」の観点からアンチコメントについて考えてみることにしました。
多くの有識者によって述べられていることですが「コンテンツ作りにおいてアンチコメントは大事」というのは、エンタメ制作に関わる者ならば多くの人が持っている認識です。秋元康さんや登録者340万人超えの人気ユーチューバー・コムドットのリーダーであるやまとさんも「アンチの存在は大事」「無関心な人よりもアンチの方がいい」といった発言をされています。
その理由は、一見アンチというのは弊害にしかならないイメージがありますが、実は「そのコンテンツを盛り上げるうえで大事な役割を果たすことがある」からです。ここでは2点について述べます。
1つは「アンチによる既存ファンの深化」。
たとえば、あるアイドルに対して「こいつ全然可愛くないよね」というアンチコメントが挙がった時に、そのアイドルのファンは「そんなことない!可愛いよ!」という反発的な熱量を促進されます。アンチが発生するからこそ、それに反発する既存ファンの熱量が上がるということです。ドラマなどでカップルが周囲から反対されたことで、より盛り上がってしまうあの王道パターンにも近いのかもしれません。
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