『ジュラシック・パーク3』をあえて放送するワケ
#金曜ロードショー #しばりやトーマス #金ロー
今週の金曜ロードショーは……来月7月29日にシリーズ最新作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』が公開されるのを記念して、事前予習をかねて前三部作の第三弾『ジュラシック・パークⅢ』を放送します。
この第三弾は前二作の監督だったスティーヴン・スピルバーグから『ロケッティア』『ジュマンジ』を撮ったジョー・ジョンストンにバトンタッチ。彼はこのフランチャイズに新風を取り入れることに成功し、続くパート4の監督に内定していたともされるが予定はキャンセルされ、2015年に設定を一新した『ジュラシック・ワールド』公開までこのシリーズは14年もの間、眠りにつく。
そんなこともあって『ジュラシック・パークⅢ』は前三部作の中でもっとも評価が低くて、駄作とまで言われたりもしているのだけど、筆者は前三部作のうちでは『Ⅲ』が一番面白いと思っているのでガッカリだ! なのでこのシリーズが誕生した当時の事情と『Ⅲ』の本当に面白い点について語ってみたい。
『ジュラシック・パーク』はハリウッド映画にコンピューター・グラフィックス(以下CG)を導入、普及しはじめた80年代から飛躍的な進化を遂げることになる90年代に登場し、当時の映像技術に革命を起こす。
それまでの実写映像で恐竜や巨大生物を再現する手段は、人形を一コマずつ動かして連続して動いているように見せるストップモーション・アニメ(コマ撮りアニメ)が主流で、ウィリス・オブライエンの『ロストワールド』『キングコング』、ジョージ・パルの『宇宙戦争』、レイ・ハリーハウゼンの『原子怪獣現る』『SF巨大生物の島』……彼らストップモーション・アニメの巨匠たちによる作品は筆者が子供の頃、ローカル局の昼間や夕方のテレビで何度も再放送されていた。恐竜といえばコマ撮りという時代は70年以上にわたり続いた。
『ジュラシック・パーク』も当初はコマ撮りで恐竜を再現しようとしていたが、スタッフがテストとして持ち込んだCGの恐竜を観たスピルバーグは興奮し、CG恐竜を使う方針に転換(といってもまだ本格的なフルCGの時代はまだ先のため、一部にロボットを使ったアニマトロニクスも採用されている)。CG恐竜の登場はストップモーション・アニメの恐竜の時代を終わらせた。以後の作品はみんなCGになった。
革命を起こした『ジュラシック・パーク』そして続編の『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(タイトルはオブライエンの『ロストワールド』のオマージュ)は大ヒットし、後に延々と続く『ジュラシック・ワールド』フランチャイズを生み出した。
しかし、映画の内容はいかがなものかといった具合で、当時金曜ロードショーの司会をしていた水野晴郎先生が雑誌の記事でCG映画を「映像は確かにすごいが、内容に見るべきものがない作品が多い」といった風に酷評していたのを覚えている。
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