デジタルハリウッド大学が有名校おさえて大学発ベンチャーで存在感発揮
#大学 #鷲尾香一 #ベンチャー
新型コロナウイルスが感染拡大を続け、多くの企業が影響を受ける中、20年度の大学ベンチャー企業数は過去最高の伸びを示した。経済産業省が5月17日の発表した「令和3年度大学発ベンチャー実態等調査」で明らかになった。
https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220517001/20220517001.html
調査によると、21年10月時点での大学発ベンチャー企業数は3306社と20年度の2905社から401社(13.8%)増加し、過去最高の伸びを記録した。
89年度には54社だった大学発ベンチャー企業は、95年度に100社を超えると急速に増加した。04年度には1000社を超え、1207社増加した。17年度には2000社を突破して2093社し、わずか4年後の21年度には3000社を超えるに至っている。(表1)
大学発ベンチャー企業数が20年度の2905社から21年度の3306社に増加する過程では、大学発ベンチャーではなくなった企業が103社、解散・閉鎖した企業数も72社に上った。
増加を続けている大学発ベンチャー企業数だが、10年度から増加を続けていた新規創業数は、19年度の296社をピークに減少に転じている。20年度は前年比7.1%減の275社に、21年度は同43.6%減の155社と大幅に減少した。
その内訳を、大学で達成された研究成果に基づく特許や新たな技術・ビジネス手法を事業化する目的で新規に設立された「研究成果ベンチャー」と「その他ベンチャー」に分けて見ると、その他ベンチャーの減少が若干上回っている。
研究成果ベンチャーの新規創業数は19年度の155社から20年度には前年比3.2%減の150社に、21年度には同43.3%減の85社に減少している。一方、その他ベンチャーは19年度の141社から同11.3%減の125社に、21年度には同44.0%減の70社に減少した。(表2)
この背景には新型コロナの影響があるようだ。資金調達面では、銀行などからの融資については大きな影響はなかったが、投資先との関係では「調達先候補との接触が難しくなった」企業が26%、「予定調達額が下がった」「調達予定が見送られた」も18%ほどに上った。
また、人材面では「新規採用を停止」、「採用人員を削減」、「新規採用を見送り」した企業のほか、「既存人員を削減した」企業まであった。
さらに、人との対面接触の機会の減少により「施設の利用が制限された」「勉強会や相談会 などの情報交換イベントが減った」という影響が見られた。
さて、大学発ベンチャー企業の株式公開、M&Aの動向を見ると、株式公開を行った企業数は64社で、時価総額の合計は1.7兆円に上っている。
株式公開の傾向を見ると、研究成果ベンチャーはその他の大学発ベンチャーに比較して、設立から株式公開までに時間がかかり、設立から10年未満での株式公開数は研究成果ベンチャーが37.5%に対して、その他ベンチャーは55%となっている。
一方、M&Aによる大学発ベンチャー企業の解散数は、16年度以降で解散した515社のうち22社が把握されている。
最後に大学別のベンチャー企業数を取り上げると、1位は東京大学の329社、2位は京都大学の242社、3位は大阪大学の180社で、ベスト3に変化は見られない。4位となった筑波大学は19年度に6位だったが大阪大学を猛追している。
同様に大阪大学を猛追しているのが、5位の慶応義塾大学で20年度に10位だったが5位に急浮上した。
もっともランキングを上げているのは15位の岐阜大学で、19年度の45位から20年度には30位に上昇し、21年度には上位20校に入った。
変わり種では、デジタルハリウッド大学が多くの有名大学を抑えて、19年度11位、20年度12位、21年度12位をキープしている。
大学発ベンチャー企業は、大学での優秀な研究結果を実社会で現実化する場でもある。より多くの大学発ベンチャー企業が生まれることを期待したい。
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