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DDTプロレスリング・The37KAMIINAのサウナ連載(仮)

「DDTのプロレスはたすきをつなぐ駅伝」レスラーたちが見つけた唯一無二の場所

 エンターテインメント性の高さと選手たちのキャラクターの強さが人気の「DDTプロレスリング」内で、飛ぶ鳥を落とす勢いを見せるユニット『The37KAMIINA(サウナカミーナ)』。その名の通りサウナをこよなく愛し、「DDTをサウナにする!」と息巻くのは、竹下幸之介、勝俣瞬馬、上野勇希、MAO、小嶋斗偉という団体の未来を背負って立つ次世代レスラー5人だ。プロレス界で大きな躍進を遂げる彼らが、試合さながらのチームワークでプロレスとサウナの魅力を語り尽くす、“読んでととのう”連載も11回目。

 現在20代の彼らが「プロレスの道」を選んだきっかけは何だったのか。前回(リンク)は竹下、上野、MAO、勝俣が少年時代を振り返った。今回はデビュー2年目の小嶋が、プロレスラーになるまでの紆余曲折を語る。さらに「CyberFight Festival 2022」を前に、所属する「DDTプロレスリング」への熱い思いも聞いた。

「DDTのプロレスはたすきをつなぐ駅伝」レスラーたちが見つけた唯一無二の場所の画像1
左上から小嶋、竹下、勝俣/左下から上野、MAO(写真:三浦太輔)

前回の記事はコチラ

「すごいやつが現れた!」サッカー少年・小嶋ヒストリー

小嶋 僕も親の影響が大きくて。実は父親もプロレスラーになりたかったらしいんですよ。

上野 そうなんや! 

小嶋 でも、身長制限があってすぐにあきらめたみたいで。それでもプロレスはずっと好きだったから、僕も小学生のときから一緒にプロレスを観てました。プロレスラーになりたいとその頃から思ってたんですけど、行動には移せなくて…… サッカーもやってるし。

上野 急にサッカー出てきたな(笑)。サッカーはいつ始めたん?

小嶋 幼稚園からずっとやってて、でも小学校のときは別にそこまで好きじゃなくて。

上野 飽きとったんや。 

小嶋 飽きはじめてました。先発メンバーにも選ばれないし、中学生になってもベンチで。でも、ずっと続けてたんです。

上野 なに、その忍耐力。

小嶋 本当になんとなくで。サッカーしかやることないしなあ、みたいな感じです。それで、勉強もできないから、名前を書けば受かるみたいな高校に入ったんですけど……。

上野 名前は書けたの?

小嶋 塾に通ってたんで、ギリ書けました(笑)。僕、高校は知り合いが誰もいないところに行こうと思ってたんですよ。マンガのキャラクターとかでも、知らない土地からの転校生とか多いじゃないですか。

上野 なんなん、その行動力。

竹下 高校デビューしようと思ったんや。

小嶋 はい、ちょっと遠いところに行ってみようと思って、おばあちゃんの家の近くの高校に行ったんです。高校ではサッカーをやるつもりはなかったんですけど、入学式でたまたま隣になった友達が「俺はサッカー部に入るから、お前も来い!」って言ってきて、本当にマンガあるあるみたいですけど、完全に巻き込まれる形でまたサッカーをやるはめになっちゃいました。

上野 ちょっと待って!? いまサッカー部の話してるよね?

勝俣 こっからだから、こっから(笑)。

小嶋 はい。サッカーをまたやるハメになったんですけど、サッカーが楽しくなっちゃって。 っていうのも、チームが弱いおかげで僕が10番だったんです。中学のときはまあまあ強いチームでベンチだったので。 

上野 エースや!

MAO 未知の強豪だったわけだ。

小嶋 はい。その地区はあまり強い人がいなかったので、バンバン点が取れて。高1で3年生の試合に出てたんですよ。

勝俣 すげえ(笑)。

上野 「すごいやつ入ってきた!」ってなったんや。

小嶋 それが楽しくて、そのまま高校で3年間サッカーを続けて。で、3年生の夏に、先生にサッカー推薦で大学の試験を受けに行けって言われたんですよ。「やれば受かる」みたいな確約みたいなのがもらえて。

勝俣 また名前を書けば入れる状態に(笑)。

小嶋 はい、名前を書けば受かるんだ! と思って、とりあえず4年間はそこで過ごそうと思いました。でも、サッカー部を引退してから、卒業するまでの4カ月で遊びすぎちゃって……。

一同 笑

小嶋 本当は高校卒業の2カ月前ぐらいから大学で練習があったんですけど、サボってたんですよね。卒業後から練習に行きはじめたら、朝練が早くて……ぐうたら生活から一気に“ゲージアップ”して、これは無理だなって。通うのも面倒くさいし、就職した人たちはもうお金を稼いでるのに、こんなことしてていいのかなと入学一週間くらいで思っちゃって。それで大学を辞めてまた親と一緒にプロレスを見に行くようになりました。

小嶋がプロレス好きの父に語った「MAOすごくなぁい?」

上野 ちなみに、プロレスはどこを見に行ってたの?

小嶋 うちの親がCIMA選手のファンで、ずっと追いかけてたんですけど、それをきっかけにDDTも見るようになって。 

上野 「#STRONGHEARTS」(編註:DRAGONGATEを退団したCIMAが2018年に結成したユニット。DDTにも参戦していた)が来てた頃だ。

小嶋 はい。そのへんから僕も一緒にDDTを見に行ってました。

上野 DDTを見た帰りに、小嶋が親に言った感想を教えてもらってもいいですか? 

小嶋 「MAOすごくなぁい?」です。 

一同 笑

勝俣 そうなんですよ。小嶋はMAOに憧れたんです。 

──憧れてた選手と今は同じユニットにいるわけですから、人生何があるかわかりませんね。

小嶋 MAOさんは独特の雰囲気だったんですよ。本当に見たことないプロレスをしていて。

上野 「MAOすごくなぁい?」ってめっちゃおもろいよ。それでDDTが好きになったんやな。

小嶋 はい。それで、大学も辞めたし働いてお金を稼ごうと思って仕事を始めたんですけど、仕事もきつくて。

勝俣 根本的にぐうたら人間なんですよ。仕事したくない、仕事しないで稼ぎたい人だから(笑)。最初に会ったとき「何かやりたいことあるの?」って聞いたら「ユーチューバーになりたいです」って言ってたからね。で、仕事がつらくてどうなったの? 

上野 はやく入門テストのとこまでいってよ(笑)。

小嶋 あ、仕事がつらくて……あ、でも最終的に楽な仕事を見つけたんですよ。屋根工事の仕事なんですけど、たまに午前中で帰れるし、お金も稼げるからいいなと思って。それでいっぱいお金も使ってご飯を食べに行ったりしてたんですけど、途中でなんか楽しくないなと思いだして。

上野 小嶋は「楽したい」と「楽しみたい」で生きてるんだな。

小嶋 はい。やりがいも特にないし、お金はあってもつまんないなと思っていたときに、ふと思ったのが……。

勝俣 きた!

小嶋 小学生の頃から思ってたプロレスでした。 

上野 やっときたよ! 待ってました!

小嶋 プロレスだけは、なんか避けてきたというか、逃げてきたなと思って。

上野 「プロレスだけは」って、話を聞いてたらお前いっぱい逃げてきたよ(笑)。 

小嶋 でも、プロレスラーになろうとはしてなかったなと思って。 だから、試験を一回受けようと思いました。

DDT入門試験で披露した衝撃の一発ギャグ

竹下 で、小嶋は入門試験のときに「僕、ビンタ受けても全然痛くないです」って言ったんだよな。 

上野 表情を変えずにいられますってね。

竹下 DDTの入門テストはだいたい最後に一発芸を求められるんですけど、小嶋のはめちゃくちゃ覚えていて。「無表情でビンタ受けれます」って宣言しておいて、いざビンタ受けたらガクンと崩れて「吐きそうです…」とか言いだすから、面接官が気を使ってビニール袋持ってきて。

勝俣 いや、自分で「すみません、袋ありますか?」って言ったんだよ。 

竹下 そんなヤツいないじゃないですか(笑)。

勝俣 まあ、ビンタする人もする人でバカだったから、「プロレスラーが素人に手を出しちゃダメだよね」とかみんなが相談してるそばで、バチーン!ってもう叩かれてたの(笑)。だから、本当に叩かれてたかどうかは誰もみていないっていうね。

上野 小嶋は当時、体力がなかったんですよ。首ブリッジのままキープするテストで、ブリッジの山がどんどん沈んでくるんです。でも床まであと五センチぐらいの「逆にどうやってこの高さでやってるの?」ってところで逃げ切って。

竹下 根性だけはあるんだよ。

小嶋 あの時は初めて腿が燃えそうになりました。正直、腕立てとかは潰れることもあるじゃないですか。でも、ブリッジなら根性でなんとかなるかなと思って、もう足がちぎれるまでやりきろうって。

竹下 よう受かったよな、それで。

勝俣 小嶋のテストは今でも覚えてるもん。ビンタの前も何かやってなかった? 

小嶋 一発ギャグですね。 

勝俣 ちょっと動画撮るから、いまいける?

小嶋 何個かやったんですけど……。

MAO ビンタが強烈すぎてそっちは記憶にないな。

上野 とりあえず一個やってみよう。

小嶋 じゃあ、いきますよ「ボボボーボボーボボ!」

上野 うわ! そんな下ネタやってたんや(笑)

MAO あとは? 

小嶋 「ピシッ! 90度!」

竹下 (高木社長のマネで)ほか、なんかないの?

小嶋 あとは、そのときずっと腿がプルプルしてて、もうわけわかんなくなってやったやつで……「ぷるぷるぷるぷる、プルコギ」
 
竹下 やってたな!(爆笑) まだある?
 
小嶋 あとは、「生まれたての子鹿」……で、このあたりでなにもなくなって追い込まれて……。

竹下 「もうないの?」「もうないの?」でね(笑)。

小嶋 はい。それで……「ビンタされても無表情で受けれます」って言いました。 

竹下 ほかのは忘れてたけど、「ぷるぷるぷるぷるプルコギ」はめっちゃ覚えてる。実際、足が燃え尽きてプルプルしてたもんな。

小嶋 そうなんですよ。「どうしよう、どうしよう」と思って、足がプルプル、プルプル……あ、プルコギって、その場で思いついて。

勝俣 いや、すごいよ。 準備してきたやつより面白いもん。

高木大社長が一発芸披露で引き出す潜在能力

──入門テストは選手のみなさんも見てるんですね。

竹下 高木さんが一番前で、みんなも一緒に見てますね。一発ギャグも面白い、面白くないはそんなに関係なくて、やっぱり潜在能力を引き出したいんで「もっとないの? もっとないの?」って求めていくんですよ。

勝俣 小嶋はそれにアドリブで応えられたっていうね。

竹下 引き出されたね。 

上野 実際、小嶋ほど受かるかどうか賛否が分かれた人間はいなかったですよ。がんばってはいたけど、常識がなさすぎるっていう理由で僕は「落とす」派でしたけど(笑)。

──選手のみなさんの意見も合否に影響があるんですか?

竹下 大体は社長判断ですね。ただ、僕や上野は入門テストもしっかり準備して挑んで高い点数で受かってるから、小嶋みたいなやつを見ると「今日まで何してきたんだよ!」「なめてんのか!」「何がプルコギや!」ってなっちゃうんです。

勝俣 勇希(上野)は入門テストでマット運動をやったんだっけ。 すっごいきれいな体操してたのを覚えてる。

上野 やりましたね。僕はこの「一芸審査」があるから、DDTは受からないだろうなと思ってたんです。「ぷるぷるぷるぷるプルコギ」みたいな発想が僕にはないんで、マット運動で置きにいきました。まあ別に悪いことではないんですけど(笑)。

──MAOさんと勝俣さんは入門テストがありませんでしたが、竹下さんは何をしたんですか?

竹下 僕はこの前の『まっする』じゃないけど、透明人間と試合していっぱい受身を取りましたね。

上野 そのときは、対誰を想定してたんですか?

竹下 いや、もう対「最強」。

上野 エディットレスラーだ。

竹下 大技ばっかりするエディットレスラーね(笑)。それで、受かりました。 

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