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ジャニヲタおじさんのアイドル公論(2)

Sexy Zoneが放つ“懐古主義“ではない80年代オマージュ

「時代を創ろう」と歌うセクゾだからこその80年代オマージュ

 80年代を子供ながらに体験した者としては、主にテレビで流行っているものが世間の流行、という印象でした。特に80年代後半は、バブル景気もあり、今思えば随分開放的な時代でした。テレビ番組の企画もスケールが大きく、面白ければいくらでもお金がかけられ、テレビマンは世界を股にかけてあらゆる刺激をエンタテインメントに仕立てていく、そんな時代でもあったように思います。アイドルは、その80年代エンタテインメントの中心にいました。一方、当時はコンプライアンスなんて考え方自体が希薄で、楽しければ何でもあり、という考え方が支配的だった時代でもありました。アイドルのプライバシーはないに等しく、自宅前にファンが押し寄せたという話も珍しくありませんでした。また、睡眠時間が確保できないなど、多忙なアイドルは不健康なエピソードに事欠きませんでした。今であれば考慮されるべき人権や健康などが蔑ろにされた上で、80年代の「アイドル全盛期」は生み出されたように思います。その意味で個人的には、80年代という時代によいイメージはそれほどないのです。

 翻って今の時代はコロナ禍の影響もあり、かつてないほど閉塞的と言えます。生活は大きな制限が加わり、これまで当たり前に楽しんでいたエンタテインメントも思い通りに楽しめない期間が長く続きました。また、コンプライアンス等の考慮すべきことも増え、エンタテインメントにとっては大変厳しい時代となりました。80年代とは真逆の時代です。その中で、80年代という時代のテイストは、今の時代にとって刺激的で、また実際の時代背景を伴わない分、その明るい部分だけをうまく活用できる、そんな効果があるように思います。前述したように実際の80年代は、今よりはるかに大胆で、その分無視されてきた大切なことも多々あったような時代でした。今は、大胆に行動することが難しく、またゆとりのない時代です。その中で、アイドルが彩った80年代のポジティブな部分をテイストとして利用して、今の時代の閉塞感を払拭する狙いが、少なからずあるように推測します。

 エンタテインメントの中で生まれたアイドルという存在は、時代を映すアイコンと言えます。80年代アイドルを知る者として、80年代が良い時代だったかと言われれば、楽しいことも多くあったものの、良い時代とは到底言い難いです。例えば、今なお改善点は多くあるものの、アイドルを取り巻く環境ひとつ取っても、80年代に比べれば現在のほうが、アイドルの人権や健康などははるかに守られている良い時代と言えます。アイドルに限らず、さまざまな過去の課題が、少しずつ改善され、積み重なって、今という時代があります。

 80年代テイストは決して懐古主義的なものではありません。実際の80年代から、苦い部分を都合よく取り除き、甘い部分だけを抽出し、テイストとして今の時代にブレンドすることで、新しい時代が創られているのです。80年代テイストは、80年代そのものではなく、新しい時代を創る要素の1つと言えるかもしれません。Sexy Zoneの「Forever Gold」を聴いて、そんなことを感じました。そう言えば、Sexy Zoneはデビュー曲「Sexy Zone」で「時代を創ろう」と歌っています。彼らが歌う80年代テイストもまた、80年代そのものではなく、彼らが創る今という時代なのです。

ジャニヲタおじさん(コラムニスト)

1974年生まれ。福岡県在住。AB型。妻、息子、娘の4人家族。ジャニーズを見て、かっこいいな、素敵だなと思ったことをTwitterやブログに記しています。

Twitter:@janiwotaojisan

君が好きだから僕は書く ジャニヲタおじさんのブログとエッセイ

じゃにをたおじさん

最終更新:2022/07/15 17:39
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