今週の金ロー『ザ・ファブル』岡田准一がにじませる“大阪のおっちゃん”
#金曜ロードショー #しばりやトーマス #金ロー
今週の金曜ロードショーはマンガ原作映画特集の第二弾『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』が放送。
あまりの強さ故に数々の伝説を持ち、裏社会から寓話を意味する「ファブル」(実際はフェーブルのはずだが、多分「ファブル」の方が響きがいいので、そうしたのかも。スコセッシのギャング映画『グッドフェローズ』は本来『グッドフェラズ』なのに響きが悪いので変更されたように……)と呼ばれている男・佐藤明(岡田准一)は幼い頃、ある「組織」に引き取られ、あらゆる殺しのテクニック、サバイバル術を学び、日本各所の方言をマスターし、どんな人間にもなりすませ、「6秒あれば敵を殺せる」という最強の戦士。
明は組織の「ボス」と呼ぶ男(佐藤浩市)から一年間大阪で堅気として普通の生活を送るよう命じられる。「ファブル」の仕事ぶりから、彼の命を狙おうとするものが現れ、正体が暴かれることを恐れたからだ。
ボスは明のサポート+見張りとして組織のメンバー、佐藤洋子(木村文乃)をつける。表向きは明の妹に偽装しているのだが、明の携帯に登録されている名前は「他人」(偽装できてないよ!)。
明は常に「ごく普通の一般人」のように振る舞おうとするのだが、いかんせん慣れていないことをしているので、普通にしようとすればするほど挙動不審になってしまう! 一般人を装うために働いているデザイン会社では素朴すぎる絵を笑われながらも認められるが、クリスマスの絵を描くという仕事で「サンタクロース知ってるか?」と聞かれた明は「会ったことはない」と返す。普通とは違う幼少時代を送っていたのでサンタクロースそのものを知らないから、そんな珍妙な回答になったのだが、周囲からはクリスマスも祝ってもらえないような暮らしだったと勘違いされる。
この周囲とのギャップ、ズレ具合が殺伐とした物語の中でなんともいえないユーモアになっている。
『ザ・ファブル』の魅力のひとつはアクションで、前作は『ボーン・アイデンティティー』『ダニー・ザ・ドッグ』『96時間/レクイエム』といったハリウッド製アクション映画のスタントやアクションコーディネート担当だった人物を採用し、邦画ではなかなか見られないド迫力のアクションを展開。岡田准一は一部のシーンを吹き替えなしでこなした。フィリピン武術のカリやブルース・リーが創始者のジークンドーの指導員認定を持っている岡田のアクションは、その辺のアクションがちょっとできるタレントのレベルではない。
パート2である本作は、岡田自らがファイトコレオグラファーとしてアクションシーンのアイデアを出し、現場の指導もこなした。
クライマックスの団地での戦い、特にブラジリアン柔術家の橋本知之との超高速バトルは必見だ。これがハリウッド映画ならただ相手を殺してしまえば終わりだが、本作は「殺してはいけない」というルールなので岡田准一は相手を殺さないよう仕留めていく。この「殺さないように仕留める」アクションの設計は難しいがやっている方も色んなアイデアが出せて楽しくて仕方ないだろう。
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