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テレ東、営業接待費「ゼロ」の深刻度 テレビ業界を襲う収益減

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テレビ東京

 コロナ禍で経済がなかなか上向かない昨今、テレビ業界も業界自体の構造以上に収益減に悩まされている。

「ある調べによれば、10年で制作費が30%も減少している局もあるそうです。各局もさすがにおもい腰を上げて、どのコンテンツに制作費をかけるのかなど、選択と集中的な施策がとられています」(テレビ制作会社スタッフ)

 ある在京テレビ局関係者によると「2年前のコロナ第一波でまず、旅行関係、大手ファストフード系、居酒屋チェーンのクライアントのCMが一気にストップ、あるいは新規出稿が止まりました。現在はファストフードのキャンペーンだったり、旅行業界もネット予約サイトのCMなどは戻ってきましたが、テレビ朝日なんかは某中堅通販企業からの出稿ばかり……なんてことも多い。そのCM、実は実入りはいいのだけど、クライアント側が考査ギリギリの線の演出を求めてくることで業界内では有名。かつては独立局やCS放送などしか相手にされていませんでしたが、そんなことも言ってられないテレ朝の厳しい事情が透けて見える」と話す。

 最近では別の在京テレビキー局の経費が消滅したという話もある。

「六本木一丁目に局舎を構えるテレビ東京は今年に入って、営業局員の個人決済できる経費が一気にゼロ円になってしまったともっぱらです。この2年、営業セクションの人間は広告代理店、クライアントを接待せずにどうにか仕事を取ってきたが上層部から『それで仕事が回るなら』などと理由をつけられて、予算が削られてしまったようだ」(中堅広告代理店関係者)

 在京キー局でさえこの有り様なのだから、ローカルに行けば惨状はもっとひどい。そこで禁断のライバル局同士がタッグを組んでスポンサーを引っ張る手段に打って出たエリアも実際にある。

「名古屋ではTBS系列のCBCテレビと、フジテレビ系列の東海テレビが今年から監督に就任したプロ野球・中日ドラゴンズの立浪和義監督を応援する名目で『立浪竜応援プロジェクト』を立ち上げた。中身は豪華プレゼントを用意したり、女子アナが交互にクイズを出すなどありきたりな内容ですが、真の狙いはCMスポンサーの獲得で、今のところ地元企業を中心に枠が埋まっている。1社で取りに行くよりも実入りは減ってしまいますが、それでも『ゼロよりは半分でも売り上げがあった方が助かる』という趣旨で動いているのでとりあえずはOKだそう」(在名テレビ局編成マン)

 地元の人気プロスポーツチームをダシにして、出稿を取り付ける手法は他のエリアではなかなか例を見ない。福岡のテレビ局関係者は、名古屋には「トヨタ自動車をはじめ、全国展開する企業が地味に多い。今は名古屋財界全体が立浪ドラゴンズをバックアップしているので、その恩恵を受けられて羨ましい」と本音を漏らす。そうまでして必死にスポンサー集めをしなければいけない地上波テレビ局の厳しい現実はいつまで続くのだろうか。

黒崎さとし(編集者・ライター)

1983年、茨城県生まれ。ライター・編集者。普段は某エンタメ企業に勤務してます。

Twitter:@kurosakisatoshi

くろさきさとし

最終更新:2022/06/04 11:01
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