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元芸人が「ツギクル芸人グランプリ」全ネタレビュー!

「ツギクル芸人グランプリ」実は漫才師圧倒的不利な中で優勝したストレッチーズ

Aブロック1組目「ママタルト」

 前回も決勝へ進出し、180キロという体型を活かし大きなインパクトを残したコンビ。太っている大鶴肥満さんがパンが大好きだからパン屋さんへ来るお客さんをやるというネタ。基本的にツッコミの檜原洋平さんがツッコミでネタを進行していく形なのだが、ツッコミの言葉数が多いため、その間ボケの大鶴さんが、ただ「はいはいはい」と頷いているだけで何もしていないのが気になった。

 せっかくツッコミが多く喋っているのだから、その間に大鶴さんが勝手にボケていっても良かったのではないだろうか。台本通りに進んでいるのが見えてしまった為、ボケも台本に書かれているように感じてしまうので、あまり漫才特有のアドリブ感が出ていなかったと思う。

 さらにせっかく180キロという常人離れした体型なのに、100キロの人がやっても成立してしまうボケばかりだった気がする。もっと180キロならではのぶっ飛んだボケがあっても良かった。

2組目「TCクラクション」

 結成3年目ながら決勝へ進出した実力派。別の大会で見たときに変わった形の漫才で面白いと思った記憶が残っている。今回は漫才では無くコントだった。

 ネタはバイトの休憩室での話。漫才で見たときもそうだったが、ボケの古家曇天さんにツッコミの坂本NO.1さんが振り回されて勝手に、テンションが沸騰していくという形。今回のコントはボケが短時間で振られたり付き合ったりするというもので、そこまでボケらしく無かった。それに対しツッコミは漫才同様テンションが上がっていくので、そこに違和感を感じた。

 漫才だと違和感を感じないものが、なぜコントだと違和感を感じるのか? それは起こっている事象が変なだけで、古家さんは普通の人なのだ。ボケてもいない人に対して突っ込むことで、まるで坂本さんが自分でボケの部分を探し、飛躍させて突っ込んでいるように見えてしまう。TCクラクションの漫才はボケはボケに見え、ツッコミは面白いツッコミに見えるので笑いが倍増するイメージがある。この微妙な形の違いに気づければもっと笑いが起こせたかもしれない。

3組目「ストレッチーズ」

 彼らはこの大会を制したチャンピオンである。

 ストレッチーズは宣材写真にサンパチマイク(漫才のときに使用するマイクのこと)を入れ込むほど漫才愛が強いらしい。コンビを組んでから漫才しかやっておらず“誰よりもネタをやっていること”に関してはどの、コンビにも負けないと自負している姿がとても好感が持てる。ネタを年間40~50本作っており、芸歴8年で400本くらいネタがある中で最も自信があるネタを披露するということを語ったVTR。これだけワクワクする煽りVTRは期待と共にハードルも上げてしまう。果たしてこのハードルを越えることが出来るのか――?

 ファーストステージのネタは怒っているか怒っていないかをひたすら確認していくというネタ。漫才師らしく「怒っているかどうか」というひとつの議題で徐々に笑いを大きくしていき、後半ボケの福島さんのふざけた感じと、ツッコミの高木さんのテンションマックスの突っ込み。声量の大きさにより客席を巻き込みそして笑いを増幅させていく。漫才の醍醐味が見られたネタであった。面白かった。

 そしてファイナルステーでジはボケの福島敏貴さんがなんでも水掛け論にしてしまうというネタ。ファーストステージと同じようなシステムで、ツッコミの高木貫太さんが何を話しても「水掛け論だからやめよう」という言葉で話を中断されてしまい、それでイライラが募り爆発していく。ネタ自体は面白く、途中で客イジリを入れて笑いをとっていたのは漫才ならではであったが、ファーストステージで同じようなネタを見てしまったが故にどうしても、笑いが少なくなってしまった。漫才というのはひとつの形を見つけるまでにかなり時間がかかる。ストレッチーズもこの形を見つけるまでに試行錯誤したことだろう。なので無理難題なのは重々承知の上で、出来ることならファーストステージとは違うシステムの漫才が見たかった。

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