レモン噴射で梅雨の湿気も吹き飛ぶ! 芝公園「綿徳」の揚げやきそば
#かた焼きそば
夏の便りが聴こえてくる
一押しメニューだけあって、配膳までが恐ろしく早い。加えて、なかなかの盛り。
具材は豚バラ、ニンジン、キャベツ、イカゲソ、きくらげ、長ネギ。頂上に鎮座するのは、薄く衣をつけた一尾のエビ天。エアリーに盛り付けられた揚げ麺は中細。湯気と共にほのかに甘く香る匂いが、より一層食欲をそそる。
あんも水分量が少ないため、最後までパリパリ食感を楽しめそうだ。
そして、付け合わせはからしと、なんとレモン。
数々のかた焼きそばを食してきたが、今のところ、付け合わせにレモンの組み合わせはここ綿徳と銀座アスターでしかお目にかかったことがない。「味の中華」と掲げるだけあって、数多ある町中華とは一線を画す非凡のセンスを感じる。
食べてみると甘みも感じられるが、ニンニクも若干効いていたり、豆板醤だろうか、ピリ辛要素も入っている。さすが、芝辛・激辛ストリート(中には、揚げやきそばの「辛口」を注文する人もいるそうだ)。
決して王道ではないが、かといって邪道でもない、考えに考え抜かれたであろう独自路線の賜物。絶対に他所と被らないかた焼きそばが綿徳にはある。
この姿勢は是非見習いたいものだ。
食事も中盤戦。満を辞してレモンを噴射。
かた焼きそばにおける味変の定番のひとつとしてお酢が挙げられるが、人によってはあのツンとした香りと風味が苦手だという。その点、レモンであればきちんと脇役に徹してくれて、なおかつ爽やかさもプラスしてくれる。かた焼きそばそのものの味とのバランスも考慮しないといけないだろうが、個人的に推したい味変アイテムである。
湿気が鬱陶しくなるこれからの季節を颯爽と飛び越えて、夏の便りが聴こえてくる。
<INFO>
・綿徳(わたとく)
住所:東京都港区芝2-8-12営業時間:11:00~14:00(L.O.13:45)/17:00~22:00(L.O.20:30)
定休日:月曜、土曜、日曜、祝日
*新型コロナウイルス感染拡大等により、営業時間・定休日が記載と異なる場合あり
<連載「かた焼きそばのフィロソフィー」の過去回>
第1回:「海老天ベンツも潜む圧倒的な情報量の“揚げ日本そば”スタイル」
第2回:「中野坂上にも“夢と魔法の王国”があった! 豚レバーとピリ辛餡が刺激的な『ミッキー』のかた焼きそば」
第3回:「椎茸・ザ ・ボンバーの一点突破! “映え”だけじゃない極端かた焼きそばの滋味と享楽」
第4回:「インド、アメリカ、中国が同盟を結んだ! フォークで食べる常識破りのジャンクかた焼きそば」
第5回:「創業90年の町中華で味わう極上“アンビエント”かた焼きそばの宇宙と無常観」
第6回:「まるでかた焼きそばのサラダ! 立川で100年以上続く福来軒の懐かしくて新しい逸品」
第7回:「エキゾチックなタイ版かた焼きそば“あんかけのスコール”で微笑みがあふれ出す!」
第8回:「“かた焼きそば名門校”出身の料理人による天衣無縫のあんかけと病みつき揚げ麺」
第9回:「羽生善治九段の勝利にも貢献した“将棋めし”聖地が『かた焼き祭り』を開催!」
第10回:「人生につまずいたときに優しく迎えてくれる中目黒の王道かた焼きそば」
第11回:「ベトナムと日本をつなぐ『あんかけ揚げめんフォー』のワンダーランド」
第12回:「水木しげるが傑作マンガ誕生の糧にした湯桶サイズの『揚げかたやきそば』」
第13回:「渋谷の名店『麗郷』で使える裏技! メニューにないバキバキかた焼きそば」
第14回:「横浜レジェンド町中華『奇珍』具材に負けない揚げ麺のスーパーイリュージョン」
第15回:「“ムラムラ”した漢が喰いたくなる五反田「梅林」の肉かた焼きそば」
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