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日刊サイゾー トップ > 配給映画  > シン・ウルトラマンより『タヌキ社長』!?

特撮好きはシン・ウルトラマンよりこっちを見よ!? おバカ映画の巨匠・河崎実の『タヌキ社長』

『シン・ウルトラマン』もしっかりネタにする河崎実節

 出オチ感の漂うキャラクターで一本の映画尺を持たせようとする河崎実の精神は、もはやリスペクトに値する。本作も案の定、主人公・タヌキ社長の活躍だけでは場がもたない。

 ストーリー自体は、昭和の人情ドラマやトレンディドラマを彷彿とさせる王道の展開であるが、主人公がタヌキというギャップが売りという「これぞ出オチ」という状況。おそらく普通にストーリーを進行させると20分ぐらいで終わりそうな内容だ。

 なので間を埋めるため、お笑い芸人・レインボーのコントが、映画としては信じられないほどの長尺で盛り込まれている。他にも主演を務めるシンガーソングライター・町あかりの歌唱シーンが無理やり入っていたりと、なんでもあり状態。逆にお笑いファンにとっては見応えのある作品に仕上がっているかもしれないし、ゆるゆるネタの詰まったお笑い番組として観れば、楽しいシーンは意外にも多い。

 特に、レインボーのふたりが河崎実の代表作「電エース」シリーズについて語り合うシーンは地味におもしろい。無名俳優時代の斎藤工が『兜王ビートル』(05)や『電エース ~ハンケチ王子の秘密 ~』(07)などに出演していたことをネタに、かの『シン・ウルトラマン』(斎藤工=主演)のキャスティングは「電エース」での功績が認められたからだなどと主張。本気で言っているのか、冗談で言っているのかわからないが、河崎実のシュールなネタとレインボーのネタの融合は見どころだ。

 河崎実監督の次回作には、愛知県幸田町の町おこし映画『超伝合体 ゴッドヒコザ』や、「突撃!隣の晩ごはん」をパロディしたヨネスケ主演映画『突撃!隣のUFO』といった、これまたクセ者の公開が控えている。

 ここまでおバカを貫く河崎実は、誰がなんと言おうと、間違いなく日本を代表する映画監督のひとりだ。

 

『タヌキ社長』
2022年5月20日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ他 全国ロードショー!

監督:河崎実
脚本:河崎実
出演:町あかり、関智一(タヌキ社長の声)、ジャンボたかお(レインボー)、池田直人(レインボー)、モト冬樹、吉田照美ほか
製作:有限会社リバートップ
主題歌:ぼんぼん花―――火
キャラクターデザイン:森野達弥
配給:TOCANA

バフィー吉川(映画ライター・インド映画研究家)

毎週10本以上の新作映画を鑑賞する映画評論家・映画ライター。映画サイト「Buffys Movie & Money!」を運営するほか、ウェブメディアで映画コラム執筆中。NHK『ABUソングフェスティバル』選曲・VTR監修。著書に『発掘!未公開映画研究所』(つむぎ書房/2021年)。

Twitter:@MovieBuffys

Buffys Movie & Money!

ばふぃーよしかわ

最終更新:2022/09/09 13:35
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