『ドリフ』はそれでも続いていく―お笑いと喜劇の質の違い
#お笑い #檜山豊 #ドリフ
ここのところSNSのそこかしこで「解散」という文字を見かける。それこそ知名度のある芸能人から無名の若手まで、ちょっとしたブームのようになってしまっている。
そんな中、解散せずにこのまま最後までまっとううするだろう、と思われるグループがいくつかある。そのひとつが「ザ・ドリフターズ」だ。
すでにリーダーのいかりや長介さんと志村けんさんは鬼籍に入られてしまったが、高木ブーさん、仲本工事さん、加藤茶さんからは何としてもこの「ザ・ドリフターズ」というグループを、存続させようという気迫を感じる。その理由はいまだに新しいことに挑戦しているからだ。そのひとつが5月8日に放送された『ドリフに大挑戦スペシャル』(フジテレビ系)だ。
この番組は2021年9月に放送された同番組の第二弾。後輩芸人だけではなく、アイドルや女優、アーティストなど幅広いジャンルで活躍する「ドリフを愛してやまない芸能人」が大集結し、ザ・ドリフターズのメンバー3人と共に”もしもシリーズ”などの体を張った、名作コントの数々に挑戦していくバラエティ番組だ。
もちろん新しく撮影されたコントだけではなく『ドリフ大爆笑』(フジテレビ)などから厳選された過去のコントも蔵出しされ、多方面からドリフの笑いにどっぷり浸かれるようになっている。
今回はそんな『ドリフに大挑戦スペシャル』を元芸人目線で分析したい。
今回も、新作も名作もどちらも面白かったが、新しく撮影されたコントと名作コントはどこか質が違うように感じなかっただろうか? 同じようなコントで同じようなシステムでつくられているはずなのに、名作コントの方が笑いやすいというか、気が付くとニヤニヤしてしまうというか。この違いは一体なんなのだろう。
まず、コントの構造から分析してみよう。ドリフのコントは単純明快で、わかりやすい設定、ベタなボケ、そしてオーソドックスなツッコミで構成されており、これに加えて台本かアドリブかわからない、言っている本人すら笑ってしまうようなセリフがドリフのコントらしさを創り出している。
ちなみにこの構成はお笑いの基本であり、番組に出ていた芸人たちなら確実に出来て当たり前というレベルのテクニックだ。その証拠に名作コントとほぼ同じように登場し、同じようにボケて、同じように突っ込んでいた。なんなら”ドリフらしさ”のアドリブを入れる余裕すら感じられた。
では今回行われたアンタッチャブル柴田英嗣さんと劇団ひとりさんの「○○ちゃんの健康牛乳」のコントを例にとって、名作コントとの違いを見てみよう。
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